年内の米利上げを控え注目された7月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が21.5万人増となりました。市場予想の22.5万人は下回ったものの、FRBが雇用環境改善の目安とする20万人はキープし利上げシナリオは崩れず。元為替チーフディーラーで株式会社ガンパウダー代表の鈴木隆一氏が解説します。
7月アメリカ雇用統計回顧と今後の展望
先週末の相場動向雑感
雇用統計で乱高下。
週末は、日米のイベントを控えて模様眺め気分の強い展開が先行、途中RBA四半期金融政策報告を受けて豪ドルが上昇するも他の通貨は殆ど動きの無い展開を続けるアジア時間となった。
欧州時間に入ると、ユーロポンドの買いなど欧州通貨内での動きが散見されたものの、この動きも一時的なものとなり徐々に米指標を待つ姿勢を強め各通貨が動きを鈍くする展開となっていった。
注目の米雇用統計発表の前に、仕掛け的なドル売りの動きが見られ、ユーロドルが急騰するもすぐに値を戻すと、発表された雇用統計の結果は予想よりも若干悪かったが、大幅悪化を予想していたのか市場は一気にドル買戻しの動きとなり、ドル円が急騰するとユーロやポンドが急落する展開となった。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2015 | 25.7 | 29.5 | 12.6 | 22.3 | 28.0 | 22.3 | 21.5 | |||||
2014 | 11.3 | 17.5 | 19.2 | 28.8 | 21.7 | 28.8 | 20.9 | 14.2 | 24.8 | 21.4 | 32.1 | 25.2 |
2013 | 15.7 | 23.6 | 8.8 | 16.5 | 17.5 | 19.5 | 16.2 | 16.9 | 14.8 | 20.4 | 20.3 | 7.4 |
2012 | 24.3 | 22.7 | 12.0 | 11.5 | 6.9 | 8.0 | 16.3 | 9.6 | 11.4 | 17.1 | 14.6 | 15.5 |
2011 | 3.6 | 19.2 | 21.6 | 24.4 | 5.4 | 1.8 | 11.7 | 6.8 | 10.3 | 8.0 | 12.0 | 20.0 |
しかし、しばらくすると米長期債利回りが低下したこともあって再びドル売りの動きとなりドル円は反落、ユーロドルが急騰する動きに転じると、欧州通貨内ではポンド売りの動きが強まり、金融政策格差を意識したポジションの整理が進む展開となった。

ドル/円 15分足(SBI証券提供)
結局、雇用統計でも米への利上げ期待感が盛り上がることはできず、英でも同じ様に利上げ期待感が後退していた為に、金融格差意識のシナリオに乗りきれない状態が続くことになって週を終えた点に注目であろう。
元為替ディーラーの視点
本日の相場は、英BOEの結果や米雇用統計の結果から金融格差を意識したシナリオに焦点を当てることができなかった印象が強まった先週末の流れを受けて、全体的に手掛かり材料を探る動きとなろう。
とはいえ、英米とも利上げシナリオが崩れたわけではないため、何かのきっかけで再び利上げ期待感が急速に盛り上がる可能性は残していると思われ、その為に一気にドル売りやポンド売りに傾くことはないと思われる。
ただ、強い方向性を感じ取ったわけではないので、消去法的な通貨選別の地合いが繰り返され、ユーロや豪ドルが底堅い値動きをすることが期待される。
その結果、需給次第の展開が相場を主導する可能性があり、また材料待ちの雰囲気のせいでイベントドリブン的な動きに終始する可能性もあるので、大きな流れを期待したポジション取りは控えるべきであろう。
以上のことを考え、局面局面での対応で細かくとっていく戦略を基本としたい。
FX兄上のトレード解説
こんちわっす。
週末は、またまた外出してたりして、なかなか落ち着けませんですた。
そんな中、トレードしたのは雇用統計の後。
雇用統計は予想よりも悪かったけど、思いっきり悪いことを予想してたのか直後はドル買い。
一瞬、その流れについていこうか考えたけどね。
思いとどまったっす。
なんか変だよと。
で、しばらく様子見てエロドルの戻しの所でエントリーっす。
ドル円を売っても良かったんだけどね。
なんか、テーマ無くなったらユーロとか豪ドルが買われる雰囲気って考えてたんで。
それは、メルマガにも書いたよね。
ここんとこ、ずっとテーマが無い感じになるとそんな動きくりかえしてたんで、雇用統計の数字があんまりはっきりとしたサプライズにならなければ、ユーロとかが買われるなと……
ややV字狙いだけどうまく行きますたよ。
ま、途中下車になっちまったけどな。
こんな感じで、ある程度シナリオを考えとくのも手だよね。
シナリオと違ったら、代替シナリオに切り替えて考えればいいし。
何も考えていないと、昨日みたいな状態になると、訳わからなくなるしね。
ま、その辺は経験値の部分も影響するけど、それは常に考えることでカバーできるよん。
考えずに、その場その場の対応するから失敗するし、それで経験値も上がらないってことになるから。
考えて、シナリオ作って、対応して、で失敗しても経験値になるようにしとかないとね。
ということ。
そんじゃなっ!
『ガンパウダー・鈴木の読めば納得!?FX・マーケット』(2015年8月10日号)より一部抜粋
※太字とチャート画像はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
ガンパウダー・鈴木の読めば納得!?FX・マーケット
[無料 ほぼ 日刊]
外国為替市場の動向を独自の視点から分析・解説したメールマガジンです。前日の動きを各種材料を中心に振り返り、当日の相場想定を元為替ディーラーの目線で解説するので、相場の「大きな流れ」を知る上で大変参考になると思います。また、各種データ分析による売買戦略やトレード解説もあり内容満載のメールマガジンです。