一人っ子政策の犠牲者「余剰男」
こうなった原因の一つは当然、中国の農村部における深刻な嫁不足である。その背景にあるのは、長年の一人っ子政策で、男子が欲しがられる農村部で女子の胎児の中絶が氾濫していたことである。その結果、今の中国では若い男女の比率が大きく崩れて3,400万人の「余剰男」が存在しているのである。
理論的には、この3,400万人の「余剰男」は生涯、結婚できない計算になっているから、いずれ社会的大混乱を引き起こす火種の一つとなろう。
こうした中で、一部の学者やネット民からは、移民政策を進めることによってこの3,400万人の男たちの結婚問題の解決を図るべきだという意見が数多く上がってきている。要するに、中国国内で結婚できない男たちの大軍を海外へ行かせて嫁を探させよう、という発想である。
それでは周辺の国々の若い女性たちはまるで、中国人自身が引き起こした「余剰男問題」を解決するための道具となっているか、のようである。
中国の国内危機を周辺国に転嫁するのはご免こうむりたいが、この問題の多い巨大国とどうつき合っていくのか。常に周辺国にとっての悩みの種であろう。
『石平(せきへい)のチャイナウォッチ』(2016年12月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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