世界同時株安の発生前、米国投資信託の資金動向に異常が?マーケットの需給に大きなインパクトを与える米投信を定期的にチェックしているメルマガ『いつも感謝している高年の独り言』の解説を見てみましょう。
株式型、債券型投資信託の両方から資金が逃げ出した7~8月
暴落直前の資金動向
世界の株式が大きく下落した8月下旬。それよりも1週間前の米国投資信託の資金の動きを、いつものように確認します。

NYダウ 週足 9/3引け時点 (SBI証券提供)
以下のグラフを見て下さい。赤色グラフは米国株式型投資信託、ピンク色グラフは債券型投資信託です。単位はM$です。
(ア) 米国株式型投資信託の資金の動き(月次)です。
(イ) 米国株式型投資信託の資金の動き(週次)です。
(ウ) 債券型投資信託の資金の動き(月次)です。
(エ) 債券型投資信託の資金の動き(週次)です。
株式型投信は3月以降、6ヶ月連続の流出です。4月、7月(推計)、8月(予測)はいずれも月次で約20B$レベルです。200億ドルですから2兆4千億円の流出になります。
2008年第4四半期以降で初めての異常
株式型から流出する場合、通常は債券型へ流入するものですが、最近はそうなっていないのです。債券型投信は7月(推計)、8月(予測値)の2ヶ月連続の流出になる見込みです。
株式型、債券型の両方から資金が逃げ出した7~8月の投資信託資金の動きは、2008年第4四半期以降では初めて起きた異常な現象です。
安全資産だったはずの債券が敬遠されたのです。金利を生まない現金の方がマシだと言うのでしょうか?それなら金利を生まない安全なものが他にもあるはずです。
世界株式型投信だけで言えば流入ですが、米国型+世界株式型の合計額となるとマイナス、即ち流出となります。全種類の投信全体合計は7月22日の週を除けば、全週で流出です。
米国発の報道では「中国政府が買い支えているのに、投資家が資金を市場から引き上げるため株価が下落している」と騒いでいます。
しかし現実には、「米国政府が買い支えているのに、投資家が投信を売却しているため株価が下落している」のですから、なんと虚しい事でしょう。
※太字はMONEY VOICE編集部による