利益が出にくいビジネスモデル
しかし、シェアを伸ばしている一方で業績は冴えません。2014年の上場以降これまで一度も黒字を出していないのです。

【出典】Stockclip
対するアリババは営業利益率が30%を超えるなど高収益を誇っています。利益では明らかに水を開けられているのです。
利益に大きな差が出ている要因はビジネスモデルにあります。
JDはあくまで「小売り」なので、売上から仕入れや配送費を差し引いた金額が粗利となります。原価率は9割近くなり、その時点でほとんど利益が出ない体質になっているのです。これは、規模が拡大したとしても大きく改善するものではありません。(=「限界利益率が低い」と言います。)
一方のアリババは「場所貸し」なので、収益の大部分が粗利です。売上の増加に伴って増える費用は配送費などに限られますから、規模が大きくなるほど利益率は向上します。(=「限界利益率が高い」)
例えるなら「イオンモール」をイメージすると良いでしょう。モールは場所貸しであり、一度作ってしまえばあとはテナント収入が勝手に入ってきます。テナント料を売上連動にしておけば、お客さんが増えれば何もしないでも利益が増えるのです。
一方、同じイオンでもスーパーは厳しい経営環境です。価格に厳しい消費者の関心を得るために、仕入れ価格にわずかな利益を乗せて商品を販売し、時には赤字覚悟の商品も出さなければなりません。そこまでしても、売れ残りがあれば在庫を処分しなければならず、損失要因となります。
JDの在庫は増加を続けており、これは財務状況の悪化要因となり得ます。JDが主に扱っているのはエレクトロニクス製品であり、流行りが終われば不良在庫と化してしまいます。この金額はよく見ておく必要があるでしょう。(下図の肌色(Inventories)が在庫)

【出典】Stockclip
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