12月の利上げは確定的。米景気は堅調ながら、不透明な面も
一方、米国債は利回りがなかなか上昇しません。中国の経済成長や米利上げへの懸念で世界的に株安となっていることが背景にあります。つまり、投資家の安全資産への需要は高まったままということです。
短期利回りは10年ぶり高水準から下がっていますし、10年債利回りも3.2%を下回っています。金利は高止まりしていますが、安心できません。つまり、投資家が債券を買っているうちは、まだ市場は安心していないということです。
CMEグループのフェドウオッチプログラムによると、短期金利先物相場が織り込む12月18・19日のFOMCでの2.25-2.50%への利上げ確率は76%です。この数値であれば、
利上げが確実とれされる7割を超えていますので、利上げは確定的でしょう。
しかし、NY連銀のウィリアムズ総裁とフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、「米労働市場は活況を呈しているものの、一部では潜在失業や技能不足などの問題が見られ、脆弱性はなお存在している」との見解を示しています。
ウィリアムズ総裁は、「米国には職業経験と経済機会の格差が存在している。各地を訪問する際、技能ギャップが存在していることのほか、景気回復が一様ではないことを常に耳にする」としました。
ハーカー総裁も、「企業は労働力の開発を社会サービスではなく、投資として見なし始める必要がある」としています。
米国の失業率が3.7%と1960年代以来の低水準にあるにもかかわらず、FRBが緩やかにしか利上げを実施していない理由が両総裁のこの日の発言で裏付けられた格好でしょう。
現在の米景気は堅調ですが、完全に手放しで喜べる状況でもないということでしょう。
いずれにしても、繰り返すように、世界景気はすでにピークアウトした可能性が高いといえる状況です。米国景気もほぼピークでしょう。
こうなると、株価のボラティリティは高くならざるを得ません。これは必然です。景気拡大の最終局面では、株価のボラティリティが上がるのが過去の明確な傾向だからです。
ですので、いまのような動きになるのが当然であり、むしろ異常ではないということです。
依然として、株価の明確な回復の兆しはまだ見えません。そのような状況の中で、これから2年間は「高いボラティリティを伴う期間」であることを十分に認識したうえで対処することが肝要でしょう。
こうなると、相当慎重に対処しなければなりません。ポジションは小さめにし、現金比率を高めたうえで、臨機応変に動けるようにすべきでしょう。