(5)時間:タイム・イズ・マネーの真実
冒頭に挙げた公式の各要素を見てきましたが、いよいよ最後の要素です。
投資で何が最大の効果をもたらすかと聞かれたら、私は迷わず「時間」と答えます。投資では、時間をかければかけるほど資産は増えやすくなるのです。
その理由は以下の3点です。
- 複利効果
- 学習効果
- リターンの集約
順を追って見てきましょう。
<1:複利効果>
複利効果は、投資をする上では基本中の基本となります。
例えば、1,000万円の元本で年率10%のリターンをあげたとすると、再投資により翌年の元本は1,100万円となります。すると、2年目には1,210万円(1,100*1.1)となり、利益を元本に加えない場合(単利)よりも10万円多くなります。
最初は小さな差ですが、時間が経つほどその差は大きくなります。そして、後になればなるほど、最初では考えられなかったほど大きな資産に育つのです。
<2:学習効果>
学習効果とは、本人が実際に投資しながら学ぶことで、より適切な方法に到達できるものです。
どんな投資家も、最初は流行りの銘柄や投資法に便乗しようとするものです。しかし、大抵の場合利益と損失を繰り返すばかりで、結果として資産はなかなか増えません。そこで諦めてしまう人が大多数にのぼるのが現実です。
「9割の個人投資家が負けている」とされるのも、このような投資で損を出して撤退してしまう人が多いからに他なりません。
一方で、これではダメだと気づいて本気で勉強を始めた人が、長く生き残って本格的に資産形成を行えます。私はウォーレン・バフェットの投資法を基本に学んでいますが、流行よりも昔から語り継がれる古典からの方が得るものが多いように思います。
<3:リターンの集約>
最後はリターンの集約です。よほど下手な投資をしなければ、長期のリターンは一定水準に集約していきます。
最初なかなかうまくいかないと思っても、それは単に運が悪かっただけにすぎない可能性があります。学習効果により改善を続ければ、平均に近づく可能性は高まります。
逆に、最初に大きなリターンをあげたとしてもそれがずっと続く可能性は低く、やがて減少していく可能性が高いことから、いつ何時も慢心してはいけないのです。

出典:ウォール街のランダム・ウォーカー(日本経済新聞出版社)
長期的なリターンを示すグラフが上図のとおりです。投資年数が短いとパフォーマンスは大きくブレますが、長くなればなるほど似たような水準に落ち着きます。つまり、長期投資は結果の計算ができるので、短期の投資よりも「堅実」だと言えるのです。