fbpx

合意なし「EU離脱」に現実味。もともと残留派のメイ首相が英国と世界の経済を急降下させる

どの選択肢を取ってもEUと世界経済はカオスになる

メイ首相は、「首相とEUとの間で合意が形成されたEU離脱協定」を下院が承認することを条件に、首相を辞任する意向を伝えています(※編注:原稿執筆時点2019年3月28日)。

首相の条件付き辞任表明は、この間にも首相がEUとまとめた離脱協定に賛同する議員が増えるとの希望的観測から、3月29日夜まで3度目の下院採決にかけるためのリップサービスですが、果たして実行されるかどうか不確定です。(※編注:英下院は29日、離脱期限を5月22日まで引き延ばす離脱協定案の採決を行いましたが、これも否決英政府は4月12日までに今後の離脱方針をEUに示すことが決まり、この日に「合意なし」の離脱が行われる可能性が高まっています)。

現行のEU離脱協定については、離脱派の多い与党・保守党内からも異論が噴出していましたが、ここにきて代替8案のすべてが議会で否決された以上、首相がEUとまとめた離脱協定が「一番良い選択肢」だとする妥協的意見が徐々に広がりつつあるようです。

反面、国民の間では、離脱中止を求めるネット嘆願運動に火がつき、現時点で580万人以上の署名が集まっています。

こうした民意について、英国政府は4月1日に審議することを約束しています。しかし、EUの頑なな態度の前には、何をやっても意味をなさないでしょう。

残された3つの道は、同じ場所に行き着く

5月22日の「合意あり」離脱シナリオが消えると、今後は以下の3つの道筋が考えられます。

プランAでは、「合意なき離脱」が強行された結果、欧州の大混乱が世界中に波及するという最悪の結果を招くでしょう。この場合、「離脱派」「残留派」の双方ともが国際世論によって非難されることになり、非常事態を招いた責任の所在を求めての新たな混乱が加えられることになります。

プランBでは、あっさり「離脱中止でEU残留」。この場合、「英国の民主主義は死んだ」と国民の議会に対する不信感は極に達し、国内は混沌としたまま離脱への火種がくすぶり続けるでしょう。

プランCでは、4月12日まで議論を突き詰めても打開策が見当たらず、最終的な採決は形式的に行われるものの、そこで決められるのは、英国が再び離脱決定期限の延長をEU側に求めるかどうか、という意見のとりまとめに終始することになります。

Next: もともとEU残留派のテリーザ・メイを首相にした時点で運命は決まっていた

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー