失敗したアベノミクス。現実から逃げ続ける安倍内閣の行き着く先
あるいは、新たな補正予算は「アベノミクスの失敗」を認めることになるため、現実から顔を背け続ける、という可能性もあります。ちなみに、ここで言う「アベノミクスの失敗」とは、
「金融政策と財政政策を共に拡大する」
はずだったアベノミクスが、金融政策一本やりに変質してしまい、財政は緊縮財政に舵を転じ、需要を縮小させてしまったという安倍政権の失政を意味しています。別に、日銀の金融緩和を否定しているわけではありません。
いずれにせよ、「デフレは貨幣現象」という誤った認識(正しくは「デフレは総需要の不足」)に基づき、デフレ脱却を日銀に丸投げした安倍政権は、現実という巨大な怪物に追いつめられつつあります。今後の安倍政権には、
「緊縮財政路線の過ちを認め、大規模な財政出動に踏み切る」
ことで国民経済を救うか、もしくは、
「このまま緊縮財政を継続し、国民を貧困化させ、怨嗟の対象となる」
のいずれかの道しか残されていません。ちなみに、後者の道を進むと、金融市場で国債が不足するため、量的緩和が困難になり、日本銀行も追いつめられることになります。
「デフレは貨幣現象」という間違った発想に支配された結果、袋小路に追いつめられつつある。「発想」とは、ここまで大きな影響を与えるのです。
「経済学者や政治学者たちの発想というのは、それが正しい場合にも間違っている場合にも、一般に思われているよりずっと強力なものです。というか、それ以外に世界を支配するものはほとんどありません。
知的影響から自由なつもりの実務屋は、たいがいどこかの破たんした経済学者の奴隷です。虚空からお告げを聞き取るような、権力の座にいるイカレた連中は、数年前の駄文書き殴り学者からその狂信的な発想を得ているのです。出典:ジョン・メイナード・ケインズ「雇用、利子、お金の一般理論」」
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/2/22号より
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