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なぜ生活保護は助けない?所持金600円の母子家庭を追い返し、不正受給4万4,466件の闇=鈴木傾城

今日さえ生き抜けないシングルマザーを追い返す申請窓口

所持金600円になって、すがる思いで生活保護を申請に行ったが、すげなく追い返されたケースが2012年に京都府舞鶴市であった。33歳の彼女は子供3人を抱えたシングルマザーで、しかも4人目を妊娠中だった。

光熱費や家賃も滞納し、冷蔵庫も洗濯機もなかった。明日どころか今日を生き抜くのも危機にある中で、追い返されてしまっているのだ。

女性は3人の子供の父親とは離婚して別の男性の子供を妊娠したが、その男性とも連絡が取れなくなっていた。しかし、担当職員は「胎児の父親の連絡先が必要」と強硬に言い張った

彼女ばかりか子供の生命にすらも関わるようなこのようなケースは、迅速に処理されなければならないはずだ。この事例はレア・ケースではなく、生活保護申請の多くの窓口で日常的に起きていることでもある。

「生活保護はどうしても嫌だ」の理由

「申請に行っても厳しい対応をされる」という事実は広く行き渡ったので、もはや路頭に迷う寸前の人でも、「申請しても受理できない」「どうせ断られる」というあきらめが最初にあって申請しないことも多い。

また、中には「生活保護はどうしても嫌だ」という人もいる。私は以前、歌舞伎町のネットカフェに寝泊まりしながら場末の激安デリヘルに勤める20代の女性にインタビューしたことがあるが、彼女もそうだった。

彼女は太っていて外観をあまりうまく飾れない女性だったので、場末のデリヘルに所属していてもほとんど収入にならなかった。そのため、明日にでも生活が破綻してもおかしくないような状態にあった。

どうしても駄目なら生活保護を申請してみてはどうかと言うと、彼女は「一度、相談したことがあるがやめた」と答えた。理由を聞くと、このように答えた。

「生活保護を受けようと思ったら、最初に親や親戚に援助してもらえないか連絡をするって言われた。親や親戚なんかに連絡してもらいたくない。だからやめた」

場末の激安デリヘルに勤めている女性の中には、親と反目に近いほど険悪な関係になっていることが多い。自分の境遇を知られるとか、親に援助の連絡がいくとか、そういうことをされるのなら「死んだ方がマシ」と思う人もいる。

生活保護は、誰でも受け入れられるものではなかったのだ。

Next: 日本で急増する経済的弱者。一方、生活保護の不正受給があとを絶たない…

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