鴻海に対するゼノフォビア(外人嫌い) 日本は途上国か社会主義国か
ところが、そのシャープを飲みこもうとする外資が現れると、やれ技術力、やれ人材と、実際の企業評価とは無関係な異次元からメディアが感覚的なゼノフォビア(外人嫌い)を煽り立て、国家機関による救済に持ち込もうとする力が働いた。
シャープが上場企業である以上、声を立てるべきは直接金融市場の参加者であり、経営実態がどんどん明らかにされるべきなのに、限られたステークホールダー(インサイダー)間の不透明な駆け引きと秘密交渉でことが進んだのは、日本の金融システムが欧米と異なり、いまだに銀行中心主義にどっぷりつかっていることによった。
上場会社のM&Aなのに、株主の価値保全ではなく、途上国や社会主義国でしか見かけないステークホールダーがそれぞれの自己保身から駆け引きに狂奔した。

シャープ<6753> 月足(SBI証券提供)
世界では、企業の多産多死を通じて産業の活性化が図られている。多産多死の世界での企業の生き死を巡る決断に責任を取らない人が勝手なことを主張してもめている様は、市場のルールから外れた社会主義国や未成熟な新興国でしかないことだ。
『投資の視点』(2016年3月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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