成長企業その4:複業で社員を送り出す・受け入れる企業
経済産業省が出している、『兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言(PDFファイル)』によると、副業による企業側のメリットとしては、①人材育成、②優秀な人材の獲得・流出防止、③新たな知識・顧客・経営資源の獲得、などが挙げられております。
・ライオン<4912>

ライオン<4912> 日足(SBI証券提供)
2020年春をめどに、人事部が社員に副業を紹介する制度を始める。人材紹介会社と提携し、幅広い仕事を取りそろえる。副業は社員が自ら探すのが一般的だが、関心があっても自分で見つけるのが難しいケースが多い。紹介までするのは珍しい。所属企業の枠を超えて事業を創造するオープンイノベーションを促すきっかけになる。
1/31には19年12月期の業績予想を下方修正。売上高は3.5%、営業利益は3.9%引き下げ、減収・減益見通しですが、同社が事業を展開するトイレタリー市場の規模は、矢野経済研究所によると18年度から19年度見込み比で1.8%増にとどまるなど、成熟しているだけにイノベーションの推進は急務といえるでしょう。
※参考:矢野経済研究所 2019年度のトイレタリー市場規模
・サイボウズ<4776>

サイボウズ<4776> 日足(SBI証券提供)
同社は12年から副業を解禁(副業例:カレー屋、ユーチューバー、カメラマン等)しているパイオニア的な企業ですが、株価は13年以降7倍近く上昇。自社でも複業採用を取り入れております。
・三菱地所<8802>

三菱地所<8802> 日足(SBI証券提供)
19年10月、新事業のさらなる成長に向けて、外部人材との新たなコラボレーションを実現するために、ビジネスプロフェッショナルの新しい働き方に対応した「副業・兼業限定」で人材登用を実施。
・みずほFG<8411>

みずほフィナンシャルグループ<8411> 日足(SBI証券提供)
19年6月、メガバンクで初めて社員の兼業や副業を今年度後半にも認める方針を明らかにしておりますが、ベンチャー企業などで経験を積み、グループの新ビジネスに生かしてもらう狙いのようです。一方、高い人件費と余剰人員が業績の足かせになっている面もあるだけに、副業解禁とあわせて、このあたりの体質改善が進めば、リーマンショック以降低空飛行が続く株価の浮上も見えてきそうです。
人生100年時代、日本型雇用制度の崩壊などを考えれば、今後は個人として複業(副業)を活用したキャリア戦略が重要になりそうです。
昨年話題となった老後2000万円問題などを考慮すれば、上記銘柄などをチェックしつつ、複業として投資をしてみるのも1つの戦略ではないでしょうか。
アレス投資顧問では、引き続き将来性の高いビジネス・話題の企業をウォッチし、成長が見込める注目銘柄を皆さんにご紹介していきます。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年2月4日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による