若年層・女性層の獲得の為に徹底した挑戦
従来型のU字型のハイカウンターは、女性は入りづらい店舗様式であったため、キャッシュ&キャリー型の店舗に改装しています。ソファーやテーブルが設置されたまるでカフェスタイルのような店舗様式で、コーヒーやカフェも提供しています。この店舗形式にすることで、店に入りやすくなった女性層の取り戻込みや、主婦層のテイクアウトの増加に成功しています。
今後はこのタイプに毎年100店舗ずつ切り替えていき、最終的に全店舗の4割となる約450店舗に拡大する見込みです。これらの施策で、若年層・女性層の取り込みがますます進むと言えるでしょう。
一方、男性層は従来型のU字カウンターで「並み!」といえば出てくる店舗に馴染みがある人が多いようですが、店舗を改装していくことで、男性客の減少はないそうです。
吉野家から見る、外食チェーンの戦略トレンド
吉野家の新しい取り組みとして、「スマホオーダー」があります。これは、来店前に自らのスマートフォンから注文をすることで、店舗で待つことなく、すぐにテイクアウトできるサービスです。2月14日から、一部店舗を除く全国の吉野家店舗(1,042店)に導入しています。
こちらは、「マクドナルドが驚異のV字回復できた理由」でも言及しましたが、マクドナルドも、スマホアプリを使って注文・決済ができる「モバイルオーダー」を2020年1月末に全国展開を完了しています。
吉野家も攻める方向性は同じです。テイクアウト利用を積極的に使ってもらうことで、スムーズな商品提供を可能にするとともに、混雑や機会損失の防止を見込むことができます。
今、“イケてる”外食チェーン業界のトレンドは「モバイルオーダー」を活用して、いかに客足を店舗に向けるかといえそうです。

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吉野家は“アフターコロナ”ではなく“withコロナ”との世界を見ている
吉野家は3月に入り、臨時休校となった子供向の食事支援として、12才以下の子供の食事のテイクアウトに限り、牛丼「並盛」を通常本体価格352円(税込380円)のところ、本体価格278円(税込300円)で販売をスタートしています。
しかし、3月27日には、このメニューを子供に限らず全てのお客様に拡大し、個数も制限しないと決定(3月31日まで)。さらに、4月1日からは22日までは、テイクアウトの牛丼・牛皿の全サイズを対象に、本体価格より15%割引するキャンペーンを実施しました。この様な事態に直面し、日本の家庭の食事に安定が必要だと鑑みた、吉野家の愛のある施策といえるでしょう。
混沌とする世の中、迫りくる未曾有の不安に全世界が直面しています。吉野家は自社ができる限りの思いやりのある施策に取り組んでいます。この姿勢から我々個人も心ある行動をしていく事が必要な時なのでしょう。
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本記事は『MAG2NEWS』のための書き下ろしです(初出:2020年4月28日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による