三峡ダム「決壊前」でも下流で甚大な被害
先ほどの中国最大のポヤン湖の決壊については、具体的には以下のように報じられています。
■中国最大の淡水湖で堤防の決壊が示されている
7月13日、中国最大の淡水湖であるポヤン湖に沿った堤防が決壊したことが、撮影された動画などから明らかとなった。
中国の三峡ダムは、本来はこのような下流の湖などの洪水を「制御」するために作られたものだが、ポヤン湖は決壊し、最悪の洪水が拡大しており、三峡ダムが洪水のコントロールを成し得ていない状況が示されている。
中国の中央部と南部では約2か月間にわたり集中豪雨が続いており、7月11日のポヤン湖の水位は、1998年の洪水時(3000名が死亡した中国の洪水)に記録された22.52メートルをすでに超えていた。
繰り返される大雨により、江西省の川や湖の水位が危険なほど上昇し、中国国営の新華社も「いくつかの堤防の決壊が発生した」と認めた。しかし、新華社は、三峡ダムが洪水を抑制しているといまだに賞賛している。
中国国営通信によると、洪水はすでに510,700ヘクタール以上の作物を破壊し、経済損失は822億万元(約1兆2000億円)に達したと述べた。なお、中国政府は、7月15日から、さらに激しい大雨がこれらの地域を襲うと予測している。
出典:Video shows dike burst on China’s largest freshwater lake – Taiwan News(2020年7月14日配信)
なお、この三峡ダムとポヤン湖の位置関係を調べてみますと、以下のようになっていました。

出典:Google Map
三峡ダムが上流にあるということになっているようで、つまり、三峡ダムが決壊していないのにも関わらず、ポヤン湖の堤防は決壊し、1998年のこの地域のかつての最大級の洪水の時よりも大きな被害を出しているということのようです。
これで、三峡ダムが決壊してしまったら、どうなってしまうのでしょうかね……。
中国政府もお手上げ?
ちなみに、どこまで本当なのか判断は難しいですが、台湾の複数の報道メディアが、「中国政府は三峡ダムについて、お手上げの状態だと認めた」というように報じています。以下のような内容です。
中国メディアは、7月14日、三峡ダムへの集中豪雨と洪水に対して政府は最善を尽くしたことをほのめかしており、中国政府はあきらめる準備をしていることを示唆している、と報じた。
中国政府は、三峡ダムは洪水との戦いで最大限の成果を上げているダムであり、世界最大の治水プロジェクトである三峡ダムに対しての非難をやめるように国民に呼びかけたという。
中国のメディアによれぱ、三峡プロジェクトは当初、揚子江渓谷の下流域を保護していたが、安徽省と江西省の最近の集中豪雨が、それらの地域にも氾濫を起こし、水力発電プロジェクトの潜在的なプラスの影響を打ち消したと述べている。
出典:準備向洪水投降?中媒自招「三峽大壩已盡力了」:請不要再指責它 | 中國 | 新頭殼 Newtalk(2020年7月14日配信)
いくら何でも、中国政府が「万策が尽きました」と言うはずはないとは思いますが、しかし、仮に今後さらに雨が激しくなっていった場合、確かに有効な手段というものがあるのかどうかはわかりません。
なお、私はこの7月の始めにも、世界各地で「記録的な規模の洪水」が起きていたことに簡単にふれていますが、その状態もいまだに続いていまして、この数日だけでも、インドネシア、バングラデシュ、ネパール、トルコ、ロシア、インドなどで、近年最悪級の豪雨被害が起きています。
しかし、その中でも、中国で起きている「降り止まない雨」による洪水は、歴史的なものになりつつあります。