コロナ禍で激変する外食業界…「大戸屋」は生き残れるか!?
さて、コロナ禍による飲食店は相当厳しい環境に置かれていることは間違いありません。
4-6月の売上高は大戸屋・コロワイドともに半減し、大幅な赤字に転落しています。この状況がすぐに終わるとも思えませんし、利益が出せないとなれば「のれん」はいよいよ損失処理しなければならない可能性が高まります。
そうなると、コロワイドは窮地に陥ります。債務超過になると銀行も簡単にはお金を貸してくれないでしょうから、資金繰りに窮します。お金が底をついた瞬間、待っているのは経営破たんです。
破綻を免れるためには、とにかく現金を確保しなければなりません。直近でも、「いきなりステーキ」の失敗で身動きが取れなくなったペッパーフードサービスが、生き残りをかけて祖業のペッパーランチをファンドに売却しました。
47%の株式を握られたとはいえ、大戸屋はまだ上場しています。価格が明確なので「売りやすい」ビジネスということになるのです。

大戸屋ホールディングス<2705> 日足(SBI証券提供)

コロワイド<7616> 日足(SBI証券提供)
そうなると、この話は第3章に突入します。すなわち、大戸屋は新たなオーナーを迎える可能性があるのです。そしてそれは、業界再編の号砲となるでしょう。
コロナ禍でどの飲食店も厳しい状況です。これからは生き残りを賭けたリストラや業界再編の嵐になることが想定されます。創業家としては、ここでうまく「大戸屋」を再生することができれば業界の台風の目になることができるでしょうし、失敗すれば荒波に飲まれて消えてしまうでしょう。
亡き久実氏はこの状況をどのように見ているでしょうか。手塩にかけて育ててきた「大戸屋」が残るかどうかは、まさにあらたに取締役に就任すると思われる息子の手にかかっていると言えるのです。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年9月27日)
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。