先行指標はADPの雇用報告が市場予想を大きく下回る
米国の10月までの指標というのは予想を上回るものが多く、意外なほどの強さを発揮していましたが、その中で民間のADP(オートマティック・データ・プロセッシング)社が発表する雇用者数は予想を大きく下回っており、やや懸念材料と言えるでしょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)
アジア圏、とりわけ中国の経済が堅調に推移していることもあって、世界的なトレンドとして製造業は好調と言えるでしょう。一方、サービス業はコロナの影響が尾を引いており、冴えない数字が続いています。
製造業が強いことは賃金面ではプラスですが、雇用をトータルで評価する場合、やはり雇用者数の伸びが大きなポイントとなりますから、注意が必要でしょう。
今のところ、大統領選挙の結果が注目されており、今回の雇用統計がどこまで影響するかといえば微妙ですが、良くても過去の数字、少なくとも10月までの米国の経済指標というのは十分に強く、分かっていたという認識になりそうではあります。
逆にここで大きく失速してしまうようだと、感染が拡大しているコロナの影響を強く意識して、将来的な懸念が強まりやすいかと思いますので、そのつもりで見ておきたいところでしょう。
インパクトのある数字が残せなければ一段高は厳しそう
米国で暴動などが激化、大統領選をめぐってよほどの混乱が発生してリスクを意識したドル買い需要、雇用統計でよほどインパクトのある数字が出て、米国は健全だという見方ならないと、なかなかドル高の流れにはなりにくそうです。
しかも、仮に今回の雇用統計が強かったとしても、連日、新規感染者数が過去最高を更新する中で、過去の数字がどれだけ意味を持つかといえば微妙です。
大統領選後、先取りする形でドル安がかなり先行しましたから、予想を上回るような強い数字が出れば一時的にドル買い戻しの動きは出やすいかもしれませんが、いずれにせよ一過性の動きにとどまる可能性が高そうです。
そして、市場の事前予想値は非農業部門雇用者数が+60万人、失業率が7.7%となかなか強気な数字といった印象があります。これをさらに上回り、雇用者数が+100万人近い数字なら、サプライズのドル高はありそうです。
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