夢に期限をつける
だから、もし望むような状況にならなければ、どこかで「自分には向いていない」ことを受け止め、別の道を探さなければなりません。
すると、もっと自分にフィットし満足できる道が見つかる可能性があります。執着していたら見えなかった道が、執着をやめれば、実はそこにもっと適した道があったんだと見えるようになることがあります。
つまりあきらめるということは、時間の損害、人生の損失を最小化するための危機回避手段だと言えます。
ではどうやって折り合いをつけるかというと、ひとつの方法としてはやはり夢に期限をつけることでしょう。
その期限とは、「そこまでだったらまだ別の道をやり直せる」「その期間であればほかのこと全てを忘れてがむしゃらに突っ走るエネルギーが継続しそう」という期間でありタイミングです。
それは人によって違うと思いますし、その対象によっても違うでしょう。経済的な問題や年齢の問題もあるかもしれません。
そしてその期限が来たら、夢をあきらめるというより「夢を取り換える」、つまり当初の夢は捨てて別の夢を設定するんだ、という前提にしておくのです。
もちろん、俳優や芸人、ミュージシャンでも、晩年に成功したという人はいますが、それは氷山の一角に過ぎず、水面下には膨大な数の屍が沈んでいるということに想像力を寄せ、それでも完全にあきらめられないなら、副業や趣味として続けるという方法もあります。
たとえば私の場合、大学3年生のときに公認会計士を目指そうと受験勉強を始めました。
1回目の受験で受かる人は多くないですが、かといって一人暮らしですから働かなくては生活できないので、浪人という選択肢はありませんでした。
そして4年生のときに受けた試験は不合格。では社会に出て働きながら7科目の勉強をして合格できるかというと、かなり怪しい。勉強へのモチベーションも下がっているのが自分でもわかる。
そこで私はすぐに科目合格制度がある米国公認会計士に目標を切り替え、こちらは2年ほどで合格できました。
そもそもの目的に立ち返ってみる
また、「そもそもの目的」をたどってみると、「なんだ、これに固執することないじゃん」と思えて来ることがあります。
悩みや迷いで行き詰まっているときは、答えが見つからないからではなく、何が課題で何が優先順位が高いのか低いのか、整理できていないから混乱していることがほとんどです。
つまり、問いを正確に立てられていないことが原因ですから、問い方を変えてみるのです。
たとえば、「本当の私は何をしたいんだろうか」「そもそも、本当の私とは何か?」などと、そもそも論に立ち返り、前提を問うてみる。
私の場合、大学受験の際、前述の公認会計士試験と同じく「浪人」という選択肢は最初からありませんでした。お金がなかったのはもちろん理由としてありますが、そもそもの目的は「家を出て東京に行くこと」だったからです。とにかく家を出たかった。
だから東京にあって学費が安い大学なら正直どこでもよく、受かったところに行けばいいという覚悟でした。それでもし全敗だったら?そのときは専門学校にでも行けばいいやと考えていました。
それで第1志望も第2志望も第3志望も落ち、受かった第4志望の大学に行くことになったわけですが、何ら抵抗感も不満もありませんでした。むしろ「やっと家を出て東京に行ける」と嬉しかったのを覚えています。