ワクチンは医薬品業界にとっておいしくない
そもそもこのワクチンというのは、医薬品業界にとってあまりおいしいものではありません。
というのも、みんながこの新型コロナのワクチンを接種すると、やがてコロナ禍というのは収束に向かうということを考えられます。収束してしまうと、もはそのワクチンは必要ありません。
したがって、このワクチンのために莫大な投資をしたとして、回収期間がこの2年とか3年で終わってしまったら、結局は元が取れないということになってしまいます。
医薬品メーカーが儲かるのは「死なないけど治らない病気」
医薬品の会社にとって本当に儲かるのは、例えば糖尿病・高血圧・花粉症といった、死なない程度にやっかいで、しかし治らないもの。これが医薬品メーカーにとっては一番おいしいわけです。
何とかして治そうとするからある程度薬価が高くても、これを支払い続けるということになるのですが、最終的に完治するというのはなかなか難しい病気なので、薬をもらい続けるということで、死なないように、そして目先の生活を保とうとします。それに対して、薬のメーカーは利益を稼ぎ続けることができます。
もう一度言いますと、医薬品メーカーにとって儲かるのは「死なないけど治らない病気」。これが一番おいしいわけです。
皆さんも医薬品メーカーを見る時は是非そのような観点でも見てください。特に大きなメガファーマと言われる医薬品会社は、このような慢性の病気の薬に力を入れていることがよくわかります。
モデルナの株価は「1年で5倍」に上昇
さて、株価に関してですが、モデルナはこの1年でおよそ5倍近くまで上昇しました。

MODERNA INC<MRNA> 日足(SBI証券提供)
しかし今説明したようにワクチンの開発だけでは、目先は多少儲かるかもしれないですけれども、今後も儲かり続けるというのは難しいです。したがって、この株価というのはやはり、どこかで下落してしまう可能性があります。
なぜこんな上がっているのかというと、1つは技術に期待されているのではないかと思います。
今回のワクチン開発に使われた「メッセンジャーRMA」という方式は、これまで実現したことのない方式です。モデルナがその技術を見事に開発しました。それを欲しがるファイザーなどメガファーマと言われる巨大医薬品会社がいっぱいあるわけです。
したがってこれを嫁入り道具に、モデルナは他の会社に買収されるのではないかというのがもっとも現実的なシナリオだと思います。