投資詐欺は日本でも。ワイン投資ファンドの手口
こうした事件はたびたび起こっていて、日本でも最近、あるワイン投資ファンドの運用会社が経営破綻しました。
このファンドは、募った資金でワインを仕入れて熟成させ、値上がり差益を出資者に還元するというものでした。手口はナスダック元会長と同じく、後から加入した人の出資金を前の加入者に支払う方法で、77億円以上もの資金を集めたにもかかわらず、発覚当時、ワインの在庫は1億円ほどしかなかったということです。
そのファンドの運用会社は、第二種金融取引業というライセンスを取得していましたが、監査が適正に行われていませんでした。さらに投資の本を何冊も書いている、とある著名な実業家がこのファンドを推奨したため、被害が拡大。この実業家は、もともとは株式や債券などの金融資産を長期分散投資する手法を日本に広めた人でしたが、同じ投資とはいえワインや不動産などの実物資産に関しては畑違いでした。
ナスダック元会長詐欺事件とワイン投資ファンドの共通点
ナスダック元会長の詐欺事件と、このワイン投資ファンドの破綻には、いくつかの共通点があります。
それは単純な詐欺手法を、どちらも著名人の肩書きを使ってカモフラージュしていたこと、しかし著名人たちは、必ずしもその分野のスペシャリストというわけではなかったこと、監督官庁や金融庁をうまくごまかしていたことなどです。
信用リスクとは、要は「裏づけがとれない案件」のことです。
投資詐欺は、矛盾点を突き詰めていけば、ほとんど見破ることが可能になります。それを難しくしているのは、人々の「何とかリターンを得たい」という気持ちです。願望が人から冷静さを失わせ、真実を見えなくさせるのです。
投資詐欺を見破るには、案件を自分の希望や憶測とは切り離して、客観的な視点から分析することが大切なのです。
本日のワンポイントアドバイス
投資案件を検討する際は、自分の希望的観測は脇に置いて吟味するようにしましょう。
一番大事なのは、「集めたお金で運用者が何をしているのか?」ということです。
- 現物資産の場合、なるべく現場にいくなどしてきちんと確かめること
- 決算書や棚卸し表などの、数字的根拠を必ず確認すること
- 専門家をチームに入れるか、実態を把握しづらいものには手を出さないこと(例:ワインの本当の価値を知る人は少ない)
※本記事は有料メルマガ・俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 2016年6月6日号を一部抜粋・再構成したものです。メルマガでは今回ご紹介した以外にも、読者の方からのご質問に回答するQ&Aコーナーもあります。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2016年6月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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