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ビットコインが周回遅れに。「金本位制」に基づく新・仮想通貨の可能性=高島康司

厳格な規制で成り立っていた「金本位制」

戦前まで導入されていた金本位制では、どの通貨も「通貨の流通量は、政府が保有しているゴールドの総量を越えてはならない」とする厳格な規制のもとで成り立っていた。

つまり、どの政府も、保有するゴールドの価値を越える額の通貨は発行できなかったのだ。

こうした規制があるため、ゴールドと通貨の価値はリンクされ、あまり変動することはなかった。極端なインフレもデフレもなかったのだ。

金本位制のこうした通貨発行の原則を、すでに流通している既存のビットコインのような仮想通貨に導入しようとするとき、やはり問題となるのが、どこの誰が保有するゴールドを基準にして、仮想通貨の発行高を調整するのかという点だ。

戦前の金本位制では、通貨を管理する主体は政府であった。したがって、政府が保有するゴールドの総量を基礎に、通貨発行量の調整を行っていた。

ビットコインでの「金本位制」導入は難しい

一方、ビットコインのような仮想通貨は分散型のシステムなので、中央集権的な管理の主体が存在しないことが特徴だ。仮想通貨の価値をゴールドにリンクさせ、それを越えて変動しないように管理する主体がもともと存在しないのだ。

そうした状況で、すでに流通している既存の仮想通貨の価値をゴールドにリンクさせることが本当に可能なのかどうか、疑問が残る。

既存の仮想通貨の価値を安定させるための「金本位制」の導入は、そう簡単ではないようだ。

ところで余談だが、前述の通り戦前の金本位制では厳格な規制があったため、通貨の価値は安定していたものの、政府は保有するゴールドの価値を越える量の通貨を発行できなかった。そのため政府は、財政出動による公共投資、年金、健康保険、失業保険、生活保護などのセイフティネットの導入をはじめとする、お金のかかる出費もできなかった。当時の社会は、戦後の資本主義よりもはるかに不安定であったのだ。

いずれにせよ、このような状況なので、仮想通貨の金本位制はまだ研究段階にあるようで、全面的な実施のメドはたっていない。

後付けが無理なら、新しく仮想通貨を作ればいい

前述の通りビットコインに金本位制を導入することは難しいが、はじめからゴールドの価値とリンクさせた新しい仮想通貨を発行することは可能だ。

それは、仮想通貨1単位の価値を、ゴールド数グラムの価値と固定してリンクする仕組みである。

すでに流通している既存の仮想通貨の価値を、事後的にゴールドと連動することは難しい。しかし、まったく新たな仮想通貨を作ってしまうのであれば問題なく可能だ。

そして、そのようなプロジェクトも数多く出現している。

Next: 実はたくさんある、仮想通貨の価値をゴールドで保全するという試み

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