事前リーク通りの結果になった日銀会合で、ここからさらに市場と日銀との攻防が激しくなる可能性は十分にあります。日本国債、ドル円ともに注視が必要です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2018年8月1日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
円安の天井を作るための事前リーク? 1ドル113円より上は難しい
長期金利の操作はさらに難しくなる
日銀の政策決定会合の結果が発表されました。先進国の中でも政策決定の発表時間を決めないというのは、恐ろしく後進国的です。
ETFの買い入れ組み換えについては、事前から言われていただけにたいした話ではありません。
イールドカーブのコントロール上、長短金利差がないことから音を上げてきた銀行を救済するために、変動許容幅は従来の倍に相当する「プラスマイナス0.2%程度」を念頭にすると黒田総裁は発言しています。
しかし、そもそも長期債の金利をそこまで厳密にコントロールできている先進国の中央銀行などは存在しておらず、金利の動きをある程度自由化させるということは、イールドカーブコントロールの操作は一層難しくなるものと思われます。
足元では一旦落ち着きを見せている日本国債の市場ですが、果たしてこれで騒ぎが完全に収まったのかどうかはかなり疑問です。
ここからさらに市場と日銀との攻防が激しくなる可能性は十分にあり、まだまだここからの動きに注目が必要です。
そろそろ緩和措置の失敗を認めるべき
「2%の名目物価目標」の設定は金利を下げるための大義名分に過ぎないことは、多くの市場関係者も理解している状況です。
それにしても、そもそもの目標に達成しないにも関わらず、緩和が長期化する可能性があるからその中味を緩やかに修正するという話は、納得のいく話ではありません。
本来ならば「緩和措置が失敗している」と認めるべき状況でもあることを忘れてはなりません。
円安のコントロールも成功したかどうかはわからない
ドル円は黒田総裁の会見を経て上昇し、31日のLondon Fixでは112円に近づくところまで上昇しましたが、これまで2.5円近く下落した買い戻しと見ると、それほど大きく円安に傾いているわけでもなく、日銀が円安の維持にも成功したと見るのはあまりにも拙速すぎる状況といえます。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)
8月9日からは日米の新通商協議FFRの開催も予定されていますから、ドル円が政治的に叩かれるリスクも一段と高まることになります。
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