【為替を扱う際に考慮すべき大事な指標】
おそらくこれをお読みの方の中には、トルコリラへの投資を検討したことのある方もいらっしゃるでしょう。そういう方は前述の背景をお読みになって、どのような心境の変化があったでしょうか。
トルコの国債金利やスワップ金利が高い理由が、これでお分かりいただけたのではないかと思います。リスクとリターンは通常、イコールの関係にあります。
「今、トルコに何が起きているのか?」ということに関しては、為替のチャートを見るのが一番分かりやすいのではないかと思います。
以下は、USドルとトルコリラのレートを年単位で表にしたものです。リラが対USドルに対して、一貫して下がり続けていることが見てとれます。

※ダイヤモンドZAi ONLINEより引用
海外投資を検討する際に、まずご注意いただきたいのが為替です。
もし、海外資産を購入する時が円高で、売却する時は円安の状態で売却できれば、為替差益も見込めます。しかし万一、これが逆だった場合は、下手をすると、せっかく出した投資の利益をも食い潰しかねません。
ですから投資を行う際には、現在の相場や今後の為替の流れも、ある程度は予測する必要があるでしょう。「レートが悪い時には日本円に戻さない」くらいの余裕が欲しいところです。
「2つの軸」で比較・検討する
海外投資を検討する際に、ぜひ行っていただきたいのが「2つの軸を持ち、比較をした上で判断する」という方法です。為替を見る場合に、対日本円とのレートに関しては誰でも必ずチェックすると思いますが、特にマイナー通貨を取り扱う場合は、
(1)対USドルのレート
(2)対日本円とのレート
最低限、この2軸を見ていくようにしてください。
なぜ、こうする必要があるのかと言うと、ただ単に対日本円とのレートを見ただけでは、何かの要因のもとにその国の通貨が下落しているのか、それとも日本円が円高基調にあるために、相対的にその国の通貨が値下がりしているだけなのかが分かりません。
そういう時に、世界の基軸通貨であるUSドルを判断に加えることによって、実際はどうなのかが見えてくることがあります。
この考え方は、通貨の相場感をつかむためにも、ぜひ習慣化していただきたいと思います。
2. 表面的なものにとらわれないために
今回のトルコリラの下落は、どれくらいのインパクトを与えたのでしょうか。
「リラの対ドル下落率が年初から4割」というのは、たとえば日本円とUSドルに置き換えた場合、現在が1ドル111円前後で推移していますから、それが数ヶ月の間に178円くらいに達したと想像すれば、かなりの下落率であることが分かるでしょう。
当然、トルコ国内では物価が上昇しており、8月の消費者物価指数(CPI)は、対前年同月比で17.9%の上昇だったということです。
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