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2019年の相場は「価格破壊」、日経平均1万2,000円の超株安・1ドル90円の超円高に警戒を=長谷川雅一

アルゴリズム取引が相場の割安感を破壊する

僕は、今年(2019年)の相場のキーワードとして、「基準喪失」という言葉を挙げたいと思います。一般的な言葉で言い換えれば「価格破壊」です。

アルゴリズム取引を行うコンピュータが、年末年始のような、相場が閑散としているときに一気に大量の売り注文を出せば、5分で4円といった、とんでもない急落が起きます。こういう急落が発生すると、割安・割高という価格の基準が破壊され、無意味になってしまうのです。

アップルショックによって、米ドル/円の割安感のあるレートの水準が110円付近から105円付近まで、5円以上も下がってしまったように、今年(2019年)は「○○円なら安い」と考えていた相場の「割安感」が一瞬にして崩され、意味をなさなくなるような急落が、たびたび発生する可能性があると覚悟しておかなければなりません。

それは主に、アルゴリズム取引によって、もたらされるでしょう。アルゴリズム取引が、相場の基準(割安感)を破壊してしまう可能性があるのです。

1ドル=90円の「超円高」があり得る

3日のアップルショックのような急落があると、その後レートは一時的に反発することが多いのですが、この規模の急落は、数ヶ月から1年に渡って長く影響を及ぼし続ける場合があります。

2015年8月のチャイナショックから、1年以上に及ぶ株と為替の下落が始まったように、大規模な急落が相場に「後遺症」を残すことがあるのです。

2015年8月24日のチャイナショックと、2019年1月3日のアップルショックは、チャートがよく似ています。今回のアップルショックを起点に、長期間にわたる為替の下落トレンドが始まっても、おかしくないのです。

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

米ドル/円 週足(SBI証券提供)

2015年の「チャイナショック」の前、米ドル/円は122円付近で推移していました。

チャイナショックの直後、米ドル/円レートは、122円付近から116円付近まで、一気に6円下落したあと反発し、その後は長くもみあっていましたが、やがてチャイナショックの時に付けた最安値(116円)を下回ります。

そして、チャイナショックから1年後、米ドル/円レートは100円スレスレの水準まで22円近くも下がった(円高になった)のです。

今回のアップルショックの起点(米ドル/円)は、110円付近でした。チャイナショック後の値動きに当てはめれば、1年後(来年1月)の米ドル/円は、110円から20円下の、90円まで下がって(円高になって)いてもおかしくない、ということになります。

僕は、今年(2019年)の相場では、為替の1ドル=90円の「超円高」があるかもしれないと想定し、「105円なら安い」「100円なら安い」という、これまでの基準(割安感)を疑いつつトレードする必要があると考えています。

日本人は「逆バリ」のトレードが好きなので、為替が105円、100円という水準になれば、「買いたい」というトレーダーが増えるでしょうが、105円で買ったら90円まで下げてしまった、という「ワナ」にはまってしまうかもしれません

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