想定以上の水準に上げた米国株、ファンダは割高の水準
さて、米国株は想定以上の水準に上げています。これまでの市場変動パターンを異なります。これで昨年10月の高値を超えることがあれば、全く理解できない動きとも言えます。
それだけ、投資家が楽観的になっているわけです。
昨年12月にハイテク株を投げて、物色を別のところに広げている中小のヘッジファンドが多いようです。また、ショートしている短期筋も少なくないようです。
そのため、買い戻しが入り、もう少し上がる可能性がありそうです。その買い戻しがいつ終わるのかがポイントになりそうです。
マクロ判断では、今の米国株がこれ以上上げていくのは困難との判断は変わりません。すでに株価は割高の領域に入っています。
バフェット指数での割高感は何度も解説した通りです。依然として138%です。昨年9月のピークの146%からほとんど調整していません。
それ以上にS&P500のPERも16倍を超えてきています。割安ではなく、むしろ割高の領域に入ってきました。
今年は増益率が5%を下回る見通しです。米中貿易戦争の影響はまだしばらく続きます。
米国が課税を棚上げしない限り、企業業績や景気への悪影響は変わりません。市場はこれを正しく理解していないようです。
そのような状況ですから、株高につれて投資家にも徐々に高揚感も出てきているように思います。こうなると、高値が近いとの判断になってきます。
米国の経済指標の伸びが徐々に低下しています。後述するように、前月比ベースでマイナスになるものが出てきました。
これで前年同月比でもマイナスになるようだと、株価は先んじて下落に転じていることでしょう。
次のリセッションが近いことを示唆する3つの指標
米国の次の景気サイクルは景気拡大ではなく、リセッションです。
これは、過去の失業率・消費者信頼感指数の期待指数と現況指数・イールドスプレッドの3つの指標からも明確です。
そして、この3指標が次のリセッションが極めて近いことを示唆しています。
これらからも、株価の反発は続かないことが分かります。それでも株価が上げているところに、投資家心理の好転が見えます。これらの投資家は、上記の指標の存在を知らないということです。
ここまで上げてきましたので、かなり過熱感も出てきました。12月の「クリスマス・クラッシュ」からの上昇期間は36日営業日に達しました。
通常は17日から20日間で上昇はいったん終わります。その約2倍の日柄の上昇が続いています。さすがに長すぎといえる領域です。
VIXはいわゆる「安全ゾーン」の15を下回りました。市場がかなり楽観的になっていることが分かります。
「FEAR & GREED INDEX(恐怖と欲望指数)」は「GREED(欲深い)」とされる領域の70ポイントまで上げてきました。ここまでくれば、いつ下げに転じてもおかしくないでしょう。
80まで上げると、過熱感が最高潮となり、調整は不可避となります。投資家のセンチメントはすでに「欲深い」領域に入ってきています。調子に乗ると痛い目に会う、そんな水準にあるということです。
今から買いに転じるのは、最も避けるべきことであると考えます。
とはいえ、相場のことですので、買い意欲を高める投資家が水準を押し上げてしまえば上がってしまいます。ここが難しいところです。
このように、いまの水準を買っていけば、「割高を買う」ことになります。長期投資の目線では、この判断は「ない」という答えになります。ここだけはしっかりと抑えておく必要があるでしょう。
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