「20年間で5回」という「PBR1倍という物差し」
平均PBRが1倍、すなわち全銘柄が解散価値に等しくなった時というのは一つの異常事態であり、これは相場の大底圏内と見なしても良いのではないかという考えがある。筆者は概ねこの考えには賛成である。
過去20年間を振り返ってみると、PBRはリーマンショックの2月・3月に1倍を割っていた。瞬間安値が0.86倍である。そして民主党政権の時代に2012年1月に1倍を割っていたことが2~3ヶ月ある。瞬間安値は0.89倍である。
次にアベノミクスの壮年期の元気な頃、2016年2月のいわゆるチャイナショック、同年6月の所謂BREXITショック、この時には1.08倍であった。そして昨年の12月、この時には1.1倍であった。このように20年を振り返ってみても1倍前後ということは4回しかない。16年の2月1回、6月1回と見れば5回である。
世界同時株高の中の日本株
昨年のような老年期相場の末期では、本稿で言うところの「一足一刀の間境」をもって市場と対峙せずに、市場の真ん中に入っていたならば、おそらく市場に振り回されることが多かったと思う。ああいう時は手が出ない、というのは落ち着いた見方であり当然である。また1月以降のように動きが緩やかで市場に活気がないという時も手が出せない。個人投資家はあまり出てはいないであろう。
外国勢の先物主導で動いているに違いない。その連中は世界の先行きがどうなろうと日本経済がどうなろうと米国景気がどうなろうと短期的に自分が儲けさえすればいいのだ、という考えで動くから、いちいち付き合ってはいられない。なぜこんなに一生懸命日本株を買うのかと思うほど威勢良く買う日がある。これは筆者の当てずっぽうの推測であるが、「10月の消費増税は止めると決定した」というデマ・ニュースを耳に入れて買ってきたのではないかと思えるような動きだ。
ところでNY株は安値から81%上がった。NASDAQも65%上がった。中国でさえ去年の1月安値から見れば32%上がった。ドイツも1月安値から見れば35%上がった。年末以降から見れば日本は7%しか上がっていないし、12月安値から見ても13%しか上がっていない。
「米国大統領の就任3年目のNY株は高い」というアノマリーがある。翌年の選挙に向けて景気刺激策を前触れして予告するからだ。トランプの就任後3年目は今年に当たる。したがって、NY株は今年は高いということになる。しかしこれは所謂アノマリーであってこれを信ずるか否かはまた別な話しだ。
こういう時はどうするかと言えば、マーケットの現象を見て考えるしかない。
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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年3月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2019年3月3日号)より一部抜粋
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。