軽減税率は「簡素」か?
さて「簡素」についてですが、まさに軽減税率は複雑で、とても簡素とはいえないですね。
国民にわかりやすい税制が良いとされています。複雑でわかりづらい税制は、ごまかしが効きますし、抜け道もできます。国民の税金を預かるわけですから、わかりやすいというのは基本です。国民の納税感にも影響してきます。
なぜこの品目に軽減税率が適用されるのか、適用するなら丁寧に説明してほしいものです。
そもそも軽減税率導入に際して、低所得者層の負担感を前面に出だすのなら、「逆進性」を考慮して消費税導入そのものを考えなおすべきでしょうし、新聞や加工品などの品目選定の議論も、何か別なところに意図があるように思えてなりません。
軽減税率は国民に受けがよい話のようです。「軽減」というネーミングが曲者ですね。
「どのみち消費増アップ」前提の自公プロレス
民主党・自民党・公明党の3党合意では、消費税率引き上げに際して、増えた税収はすべて社会保障にまわすとされています。
自民党案の生鮮食品のみを軽減税率の対象とすれば3400億円税収が減ることになります。公明党案の、酒を除く飲食料品だと1兆3000億円税収が減ります。
この分を他で埋めようとするなら、景気回復で増えた分を充てるか、たばこ増税を検討するなどの必要性が出てきます。
軽減税率の枠を広げると社会保障費に税金が回らない、社会保障を充実させるには軽減税率は我慢する、そんな構図を突きつけられているような気がしますね。
参議院選挙に向けて、低年金受給者へ直接給付、携帯電話料金の引き下げ要求など、国民の受けを狙うような政策が目立ってきています。
先の総選挙では、公明党は安全保障に触れずに軽減税率一本を主張していました。軽減税率の本質を、もっと丁寧に議論してほしいですね。
『らぽーる・マガジン』(2015年12月7日号)より一部抜粋
※タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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