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住み続ける地獄。『すべてのマンションは廃墟になる』書評=姫野秀喜

悪行三昧の悪徳理事たち

このマンションは当初からほぼ同じ人物が管理組合を支配している

たとえば

古いマンションなのでリフォームの要望が多い。すべて管理組合の承認が必要となっている

リフォーム工事には指定業者しか使えない

もちろん、理事長と裏でつながって

とか

理事長に対して組合の預金通帳を開示せよと要求

ところが、何年たっても開示されない

別のマンションの管理組合において、同じように理事長が管理組合を私物化

理事長解任を主な議案とする臨時総会の開催を求める

その理事長は、自分の解任決議案を議論する臨時総会に堂々とやってきて、自ら議長になることを宣言。「議長一任」として提出された委任状の議決権を行使して、反対多数で自分の解任決議案を否決してしまった。

こういう悪意を持った人物による絶対的な権力の登場と、その半永久的な継続を許しているのが、今の区分所有法なのだ

絶望的ですね。理事長の暴挙を止める方法が本当に無いです。

マンションが廃墟化する2ステップ

分譲マンションの廃棄は、ふたつの重要なステップを踏んで進行する

<ステップ1>

マンションの「資産価値喪失」

資産価値が五〇〇万円を切ると、区分所有者たちがそのマンションを所有していること自体に関心が薄れ』『やがて、管理費等を滞納するようになる。

そして、管理組合が、

督促しても支払われない場合、その住戸の競売を申し立てる

このときに、競売の諸費用や弁護士報酬などを差し引いても、滞納している管理費等をほぼ全額回収できるギリギリのラインが五〇〇万円なのである

<ステップ2>

管理不能

管理費が徴収できずに、必要な管理業務や保全がおこなえなくなる状態が「管理不能」である。こうなったマンションは、ほぼ確実に廃墟化する

水道の水が濁る

ヘンな匂いも出てくる

不具合が発生しても補修できなくなる

やがて、誰も住まないマンションになってしまう

こうなってから立ち直った例はほとんどなく、福岡の一等地である博多駅ちかくのマンションくらいしか、立ち直りの例を知りません。ましてや、価値のない立地のマンションはどうにもならないでしょうね。

Next: マンションの建て替えは絶望的な難易度、老朽化を止められない…

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