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中国富裕層が欲しいものを先んじて買うが正解、2020年のポートフォリオ戦略=田中徹郎

<現物資産>

現物資産については、いつも申し上げていますように今年という短い期間ではなく、長期的な視野に立って一定額を保有しておくべきではないかと思います。

昨年を振り返りますと、とにかく中国人が好む資産の値上がりが目立ちました。ストレートに申し上げますと、中国コインとカラーストーンです。

中国コインはリーマン・ショックがあった2008年あたりからジワジワ値上がりしていましたが、ここ数年でさらに加速した印象です。

カラーストーンの世界でも、中国人の存在感は増すばかりで、ルビーやスピネル、サファイア、ヒスイなど中国人が昔から好んできた石が買われました。

もしかしたら深読みしすぎかもしれませんが…。この現象の背景には、中国でいま準備が進みつつある「デジタル人民元」の導入があるのかもしれないと僕は考えてます。

人民元のデジタル化を進める中国当局の狙いは、人民元を米ドルと並ぶ基軸通貨に押し上げ、今後の覇権争いの布石を打つためだと思います。

すでにアジアやアフリカに形成されつつある中華経済圏や、中央アジアから東欧に伸びる一帯一路経済圏で、どのようにして人民元の地位を押し上げべきか…。より便利に使える通貨として人民元を位置付けるためには、人民元のデジタル化が有効だと考えているに違いありません。

さらにその副産物として、富裕層が蓄積してきたアングラマネーをあぶりだす効果も、人民元のデジタル化にはあるはずです。まさかデジタル人民元の導入と同時に、旧人民元を使用停止するといった手荒な政策は採らないとは思いますが、万一そうなった場合どうでしょう。

中国では地下経済が拡大しているようですし、貧富の差もわが国の比ではありません。富裕層ほど旧人民元廃止への危機感は強いはずで、そのテのマネーの一部が実物資産に流れ込んでいるのではないかと僕は思います。

もしこの見方がまちがっていなければどうでしょう。

さきほども申しましたように、仮に中国当局が近々デジタル人民元の試験導入を決めたとしても、おそらくその時点で旧人民元を使用停止にすることはないでしょう。逆に言えば中国富裕層にとって、旧紙幣の保有はリスクであり続け、その結果、あいかわらず中国富裕層マネーは実物資産に流れ込み続ける…。これが向こう数年の、もっともありそうなシナリオではないかと僕は思います。

繰り返しになりますが、実物資産投資の世界ではすでに中国人は巨大な存在です。過去数年と同じく、今年も「中国人が好む資産を先回りして買え」が有効ではないかと思います。

もう一つ想定しておきたいのは金融危機の再来です。世界はようやく先のショックから立ち直りましたが、この間ずいぶんと無理をしてきました。低金利(もしくはマイナス金利)と紙幣の過剰供給(QE)です。これほど異様な政策を続けてきたにもかかわらず、世界はあいかわらずデフレと低成長に包まれたままです。

この異様な金融政策を、いったいいつまで続ければよいのでしょうか。バブルはそれと気づかないうちに形成されますが、今の債券高、金利安は、すでにバブルではないのでしょうか?バブルの破綻を予見するのは至難の業で、いつやってくるかは神のみぞ知るです。

そのよう視点からも、私たちは一定額をペーパーアセットとは離れた世界に置いておかなければなりません。逆に言えば、そのような資産の質的分散を実践しているからこそ、安心してペーパーアセットの世界で収益を追求できるのではないでしょうか。

Next: 2020年に構成するべきポートフォリオの内容とは?

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