セブン&アイ全体の有利子負債は3兆円へ
セブン&アイ・ホールディングスは今回の買収で、210億ドルのうち、130億ドルをブリッジローン、80億ドルを日本側から米国セブン-イレブンの増資の引き受けで調達します。
計画では、現在の約1兆円規模の有利子負債が、今回の買収直後には約3兆円規模に膨らむ見通しです(資産売却で約2兆6000億円に圧縮予定)。
グループ内には、そごう・西武の経営の難題や、イトーヨーカドーの今後の姿をどうするのかなど、微妙な問題も抱えています。
セブン&アイの株価が、今回の買収の発表に、ネガティブな反応を示したのも、仕方がないでしょう。

セブン&アイ・ホールディングス<3382> 日足(SBI証券提供)
マラソン・ペドロリアムにすれば、210億ドル(約2兆2,000億円)を手に入れることができるため、良い話でしょう。
実は「ガソリンスタンド部門」は伸びていない
今回の買収で、もっとも気になる点があります。それは、ガソリンスタンドの経営についてです。
米国セブン-イレブンは、ガソリンスタンドとコンビニ店舗をスノコ社から買ったあとも、ガソリンの売上数量を買収前後で比較すると、微減だったりして、あまり伸ばせていないのです。
そして、今回の買収対象の「スピードウェイ」は、販売額の割合ではガソリンの販売額が大きく、コンビニ商品の販売額の割合は小さめとなっています。
つまり、薄利多売のガソリンの比率が大きくて、コンビニの方は販売額が小さいが、そのコンビニでかなりの利益を上げている構造です。
これはどういうことかと言いますと、販売額が大きいガソリンの方がもしどうにかなってしまうと、経営が一挙に傾いてしまう可能性もあるということです。
これは、コンビニの経営というよりも、ガソリンスタンドの経営が重要になるということです。