中国が「衰退老人国」になる日
こういう中国の非現実的な夢を、いかに現実路線に戻すかである。
それは、中国の未来がいかに暗いものかを認識させることだ。今の中国は、「世界一の人口」で舞い上がっている。これが、「世界一の高齢人口国」になる。中国の輝きは、そこで終わりなのだ。
医学誌『ランセット』に掲載された米ワシントン大学の新たな研究論文が注目を集めている。従来の人口統計が、世界中の医療や女性教育の継続的かつ将来的な向上を加味していない結果、人口推計を過大に計算していると主張しているもの。出生率の低下は、都市化に加え、識字率や避妊に関する情報へのアクセスの向上と相関性がある、と指摘するのだ。
以下のデータは、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月29日付「気候変動問題、活動家には不都合な予測」)から引用した。
米ワシントン大学の新人口推計によれば、2064年に世界人口は97億人でピークに達し、2100年には88億人に減少すると予測している。さらに、国連の教育と避妊具の使用に関する持続可能な開発目標(SDG)が全面的に達成されれば、2100年には62億9,000万人にまで減少する可能性もあるとしている。これは国連の現行予測の下限を33%、現在の地球人口を約15億人それぞれ下回る水準だという。
ワシントン大学の予測によると2100年、中国の人口は48%減の7億3,200万人となり、世界の人口順位でインドとナイジェリアに次ぐ3位に後退する。日本や韓国、イタリア、ポルトガル、スペインをはじめとする23カ国・地域の人口は、ピーク時から50%以上減少する見通しだ。米国は3億3,600万人と現在より若干増える程度で4位に下がる見通し。これは継続的な移民の流入が出生率の低下を補うとみられるためだ。
2100年、中国は人口半減で財政破綻する
ここで、整理しておこう。
2100年の中国人口は7.32億人。世界の人口順位でインドとナイジェリアに次ぐ3位に。米国は、3億3,600万人と現在より若干増える程度。順位は4位に下がる。この米中の2100年人口推計を見れば、中国は大きな傷を、米国は無傷で迎えられるのだ。
人口推計によれば、2100年の中国人口は48%減である。これは、財政破綻を意味する。膨大な軍事費負担に加え、人口超高齢化に伴う年金や社会福祉負担が急増する。さらに現在の過剰債務負担をすべて背負い込む。人口順位は3位。1位インドの下位に付く。
もはや、中国に、中印国境紛争をしでかす余力はなくなっているだろう。「中華再興の夢」は完全に萎んでいるはずだ。