政府はもう中小企業を救わない?
既存企業をとにかく潰さないことに必死となり、弱い企業をさまざまな補助金や助成金などで事実上支えてきた政策を転換しようというのが、安倍政権の新しい日本を作る支柱となっていました。
新規開業者が出やすいように、業界ごとの企業新陳代謝を促すことの1つとして、民法を改正して、銀行借入れの際に第三者保証を求めないこととしました。これは中小企業の社長が銀行借り入れを行うときに、親戚に保証人になってもらっているケースが多く、それゆえ会社をたためない状況を軽くするためだとも言われていました。
新型コロナ感染者拡大による景気悪化により、政府は中小企業に持続化給付金として、200万円を、ほとんど審査なく給付しました。これを表立っては言わないものの、「ゾンビ企業延命」という批判があるのも事実です。
つまり、コロナ禍が落ち着いたその先には、もう中小企業に救いの手は差し伸べないという姿勢が伺えるとうことです。
となると、これ以上の、中小企業救済のための給付金制度は出てこないということになりますね。解散総選挙前なので、あからさまなことはできないでしょうけどね。
ダメな企業を淘汰するのであれば、同時に、再就職支援を、お金と教育と斡旋の面で労働者を支えるシステムは必要だと思いますが…。
デービッド・アトキンソン氏が成長戦略会議の委員に就任
菅政権では、経済財政諮問会議と並んで「成長戦略会議」を創設しました。そのメンバーとして、イギリス出身で日本経営者のデービッド・アトキンソン氏を招聘しました。その他、テレビでもおなじみの竹中平蔵氏や三浦瑠麗氏も、委員として選ばれています。
デービッド・アトキンソン氏は、菅首相の政策決定のブレインでも知られている、政権助言の中心人物と目されています。アトキンソン氏の主張は、日本の労働生産性が低いのは会社が多すぎるからで、日本を救うには今あるダメ企業を淘汰すべきだとの考えです。
企業淘汰は、日本経済と社会保障に関して、人口減少社会と少子高齢化社会における将来の社会保障の持続困難性の現状では不可欠だとも言っています。
特に技術革新や海外展開に対応できる人材が乏しく、最新設備の導入にも限界があるのは、日本に過剰な数がある中小企業が生産性低下の大きな要因だとして、そのために最低賃金を引き上げて経営力と競争力がない中小企業を淘汰・統合するなどの政策を行うべきであると提言しています。
たしかに優秀な人材が海外に流出しないためにも、労働者賃金は上げるべきです。、その結果、「同一労働同一賃金」前提であれば、低賃金で支えられている企業の倒産は仕方がないという主張もあるのでしょう。
今回は、事実(FACT)の羅列ではありますが、明確に日本郵便最高裁判決が企業淘汰の始まりと位置づける報道はありませんが、その事実の羅列から導き出せる、1つの意見(OPINION)として紹介しました。あくまでも意見(OPINION)であり、事実確認できる内容ではありませんが、想像できないことではないということで、今回のメルマガのタイトルとして「ニュースを読む:日本郵便契約社員格差是正命じる最高裁判決は中小企業淘汰のはじまり」としました。
日本産業の競争力を高めること、労働生産性を高めることは良いことですが、こぼれていった労働者救済のセイフティネットを準備することは、同時に行ってほしいと願うのですが、どうなるのでしょうね…。
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- 日本郵便契約社員格差是正命じる最高裁判決は中小企業淘汰のはじまり(10/20)
- 縦割り行政打破とデジタル化って、結局は…(10/12)
- ワクチン無料接種って、賠償金肩代わりってなによ…(10/5)
※本記事は、らぽーる・マガジン 2020年10月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『らぽーる・マガジン』(2020年10月12日号)より一部抜粋
※タイトル、本文見出しはMONEY VOICE編集部による
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