米大統領選の事前予想が当てにならない今、私たち個人投資家はどのような戦略を取るべきでしょうか?どちらが勝ったとしても、買うべき株・買ってはいけない株を考えます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
大統領選目前で株価は下落基調
いよいよ米大統領選が近づいてきました。現在のところ民主党のバイデン氏有利と言われていますが、前回土壇場でトランプ氏が巻き返したことから予断を許しません。
さらに危惧されているのが、選挙が終わっても新しい大統領が確定しない場合です。「不正」を盾にトランプ大統領がホワイトハウスに居座り、法廷闘争にもつれこむ可能性があります。
その法廷も、大統領が「味方」の最高裁判事を就任させたことから、火種含みです。一時的にでも大統領が空席となれば、これほど不安定なことはありません。
大統領選を前に、株価は下落基調にあります。波乱に備えて一部の投資家が今のうちにポジションを落としておこうと考えたのかもしれません。

NYダウ 日足(SBI証券提供)
選挙後の株価はどうなる?4年前の経済は好調だった
「トランプが勝ったら上がる」「バイデンなら下がる」と言われることもありますが、2016年の選挙では当選したら大混乱が起きると言われたトランプが当選し、一瞬の急落後急騰に転じたことから、事前の予想は当てになりません。
ただ、間違いなく言えることは、4年前の経済は好調だったということです。株価の上昇は結局それを反映したものにすぎません。トランプ政権は就任後法人減税を行いましたから、企業の利益は「濡れ手に粟」状態で増えたのです。
翻って現在はどうでしょう。新型コロナウイルスのワクチン開発が急がれていますが、一部の産業や地域は大変厳しい状況にあります。もはや風前の灯という企業も少なくないでしょう。
経済は体内の血液のようなものですから、あるところで流れが止まると、全体の巡りも悪くなります。今は「輸血」でしのいでいますが、輸血すべき血(財政支援)もどこまで続くかわかりません。