アップルが自動車会社買収へ動く?
これを実現するために実はもっとも簡単な方法は、既存の自動車会社を買収してしまうことです。
自動車会社だったらすでにその製造の為のサプライチェーンや工場というのを持っていますから、それをそのまま利用することができれば、ディーラーも含めて一気にサプライチェーンを流すことができます。
したがって可能性は決して高くないと思いますが、アップルが何らか既存の自動車会社を買収するということはあるかも知れません。
最もアップルという会社はこういった買収によって、拡大してきたということはあまりなかったので、この自動車についてもするかどうかということは決して断言できません。ただ、1つの選択肢としては十分にあり得ると思います。
ここで注目すべきなのが、日産自動車だと考えています。ゴーン氏がいなくなって、業績は今も大幅な赤字を計上してしまっています。株価は数年前からすると、すでに3分の1ほどに割安になっています。

日産自動車<7201> 週足(SBI証券提供)
時価総額も2.37兆円というところですから、アップルが実際に買おうと思ったらわけもないということになります。
さらに深く考えてみると、先ほど紹介したこの鴻海先進と合弁会社を作った「裕隆汽車」というのは、実は昔から日産の仲が良かった所もあって、台湾では日産の車を売っていたりします。
その経緯から、その鴻海先進が日産と組んでもおかしくないという風に考えられます(※編注:原稿執筆時点2020年12月27日。年明けの報道ではアップルとヒュンダイが提携交渉に入ったとの情報も見られます)。
折しもこの日産の株式を40%以上保有しているルノーなんですけれども、ルノー自体経営が苦しくなって、もはや日産の株をいつ手放すかはわからないという状況にもなっています。
この引受先としてアップルやフォックスコンということが、将来考えられなくもないのではないかという風に考えています。
やはり買収ということになると買われる側の期待というところも高まりますから、そうなると株価が上がるということも考えられます。決して確度の高い話ではないと思いますので、それは承知の上でお聞きいただければと思います。
いずれにしてもこの2021年バイデン政権が誕生して、電気自動車への各国の流れが強まる中で、自動車業界で大きな動きがあるということは間違いないと思います。
その流れの中にアップルや日産自動車というところが入ってくれば、また業界が面白いことなるのではないかと思います。
業界で今ぶっちぎっているテスラの動きなんかも含めて、今後も目が離せない状況となっております。
(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年12月27日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。