記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年3月28日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
このままデフレが続けば、日本人のノーベル賞受賞者はゼロになる
資源の無い国は「科学技術力」が必要不可欠
資源大国は、その資源を外国に売るだけで暮らしていくことができます。しかし、日本の様な資源の無い国は、それだけでは暮らしていけません。
「海外に輸出」できるだけに十分な「付加価値」を、そして、「輸入品に負けないだけの財やサービスを作り出す」ために十分な「付加価値」を作り出す必要があります。つまり、「海外マーケットのシェアを取るための『付加価値』」のみならず、「日本国内マーケットのシェアを海外勢に奪われないための『付加価値』」を生み出すことが求められているのです。
そして、その「付加価値」を生み出すために必要不可欠なのが「科学技術力」です。「科学技術力」こそが、自動車産業や化学製品産業、家電産業やインフラ産業等の根幹にあり、それが、日本の産業競争力を向上させてきたのです。
わが国は間違いなく、この「科学技術力」については世界一流の水準を維持し続けてきました。下記の図は、各国の科学技術力を表す主要指標の1つである「論文数のシェア」の推移のグラフです。

主要国等における論文数シェアの推移
出典:文部科学省
ご覧の様にわが国は80年代、着実に科学技術力を伸ばしていました。そして99年~2000年ごろにピークを迎えます。この頃、全世界の論文の10%を、たった1億2千万人しかいない日本人が生み出していました。そしてそのシェアは世界2位の位置を占めていました。
しかし、それ以降右肩下がりに下がっていきます。そして、2008年時点でシェアは7%、ランキングも世界5位にまで下がっています。
さらに最新のデータによれば、2008年以降、その凋落に拍車がかかっているとのこと。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170323/k10010921091000.html
2015年次点の日本の論文数シェアは、ついにピーク時の半分である5%を下回る状況に至っています。
http://gigazine.net/news/20170327-japanese-research-decline/