中国発「世界連鎖不況」は発生するか?
7月10日号で述べた。
「今後、真に恐るべきものは中国の景気後退・崩壊である。だが、中国は国営資本主義だから崩壊はない。ただ、崩壊に近い悪影響を世界中に発するであろう。中国が倒れれば図体がバカでかいから跨いで先に行けなくなる。これは怖い」と。
折しも『中国発世界連鎖不況』(みずほ総研編著、日経新聞出版社刊)という本が出ていたので要約しておく。
結論的にはこうだ。中国が無理な政策を打たなければ、ハードランディングの恐れは少ない、という。
- 中国の需要減による原油安→ベネズエラ不振→ベネズエラに多額に貸し込んでいた中国に悪影響、というブーメラン現象→中国不振の再波動発信という悪連鎖
- 中国の需要減による原油安→産油国の財政逼迫→産油国が保有している日本株を売る→今春の日本株安
という風にグローバル化が進む中でのマイナス連鎖を、データをもとに述べている。
タイトルにあるように「連鎖」が世界経済を覆うリスクである。 だが中国共産党はバカではない。 中国共産党は08年秋のリーマンの破綻に直面して当時の円換算で60兆円
もの資金を即刻用意した。 その迅速さと規模に筆者は敬服した。
その時、日本の対応も早く且つ大きかった。 麻生総理の最終局面だったからだ。 あれが
民主党政権だったら日経平均は7000円で止まらず5000円割れまで行って多くの破綻が出たろう。

図:上海総合指数の長期推移
なお、筆者はベネズエラ国営石油開発公社の債券を少々保有していたが3割弱の利が乗ったので売却したことがあった。 今日的問題を先読みしたわけでは決してない。 良く精通してないものは「利食い千人力」の格言に従ったまでだ。
山崎和邦(やまざきかずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。
大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)、近著3刷重版「賢者の投資、愚者の投資」(日本実業出版)等。
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