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ワタミが「中生ビール1,081万杯分」の現金を1年間で失った意外な事情=安部徹也

従業員の過労自殺や創業者である渡邉美樹氏の過激な発言が注目を集め、ブラック企業の烙印を押されてしまった「ワタミ」。しかしその後の経営努力で、倒産という最悪の事態は免れました。そんな同社が発表した3月期の決算は、最終損益18億円の赤字という芳しくないもので、現金残高は前年から53億円の減少。この状況について、無料メルマガ『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』の著者でMBAホルダーの安部徹也さんがバランスシートやキャッシュフロー計算書を読み解きながら分析しています。

1年間で現金が53億円減少。それはワタミ「復活の兆し」だった

キャッシュ大幅減も、著しい低水準ではない

ワタミの最新決算分析の前編では、損益計算書から18億円の赤字の原因を特定し、前期の赤字は一時的なものであることを浮き彫りにしてきました。今回は後編として、バランスシートやキャッシュフロー計算書から、ワタミの経営分析を行っていきたいと思います。

それでは、まずバランスシートの現金残高からチェックしていくことにしましょう。

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ワタミの2017年3月末現在の現金残高ですが、138億円とこの1年間で前年の191億円から53億円も減少しています。

この138億円という現金残高は、日割りで計算するとおよそ50日分の売り上げに相当する水準になります。

この水準自体の妥当性はワタミの数字だけでは判断しにくいので、同業他社の鳥貴族と比較してみましょう。

鳥貴族の直近の決算書を見ると、売上高245億円に対して現金残高は37億円とおよそ55日分の売り上げに相当する水準です。

このように両社の現金残高の水準を比較してみると、決してワタミが著しく低い水準ではないことがわかるでしょう。

Next: 巨額の現金減少に伴ってワタミに起こった劇的な変化とは?

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