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ワタミが「中生ビール1,081万杯分」の現金を1年間で失った意外な事情=安部徹也

またもネット炎上。ワタミが抱えるもう1つのリスク

確かに財務的には回復の兆しが見えますが、ワタミにとってはまだまだ安心できる状況ではありません。やはり、特に世論を刺激しないよう慎重には慎重を期す必要があります。

ワタミは、かつてブラック企業の烙印を押され、そのブランドは地に堕ちて業績不振に陥りました。顧客離れが加速して虎の子の介護事業を手放してまで再建に取り組んできた経緯があるのです。ここでまた評判を下げるような事態となれば、せっかく見え始めた復活の兆しがまた遠のくことになりかねません。

ただ、そのような自社の置かれた状況を知ってか知らずか、先日も物議を醸す事態が起こりました。ワタミは来年度の新卒採用に際して、次のような条件で募集を行ったのです。

● 初任給
基本給20万2,100円(月間127時間分の深夜みなし手当3万円、営業手当1万円含む)
※ 127時間を超えた時間外労働については追加支給

これは、月間127時間分の深夜みなし手当は3万円で基本給の中に含まれているということになりますが、「127時間の残業をしてわずか3万円しかもらえないのか!?」とネット上で話題となったのです。

ワタミはこの件に関して、誤解を与える表現だったと謝罪に追い込まれますが、かつてワタミの長時間残業が社会問題化した経緯を考えれば、募集条件を提示する前に誤解のないよう細心の注意を払う必要があったといえるでしょう。

もし今後もそのような配慮を欠くなら、「やはりワタミは変わっていない」と社会の信頼を再び損ね、回復の兆しに冷や水を浴びせることにつながりかねません。

Next: ワタミの復活が「本物」になるための条件

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