そろそろ日経平均は調整に入ってもおかしくない。日経225PERは12/1に15.82倍まで上昇。直近でこの水準まで上昇したのは今年4/22だが、PER15.99倍まで上昇後に反落している。(『山の中の超相場観』)
※本記事は、『山の中の超相場観』2016年12月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
今週の株価・為替展望~各種指標・イベント日程は調整開始を示唆
PER15.82倍
そろそろ日経平均は調整に入ってもおかしくない。先々週までの順調な上昇から一転、先週は足踏みした週だった。しかし木曜にシカゴ先物高から窓を空けて上昇し売り買い交錯の結果、クロスが出現。金曜反落し強弱感が対立している。
無論、このもみあいの結果、さらに上伸する可能性があるが、その一方、そろそろ調整に向かってもおかしくない。
テクニカル的には東証1部25日騰落レシオが先々週の130P台後半から先週反落し、金曜123Pまで下落している。120P超は一般的に過熱圏なので、まだ調整が進む可能性がある。
それから日経225PERが12月1日に15.82倍まで上昇。直近でこの水準まで上昇したのは今年4月22日。この時は15.99倍まで上昇、しかしそれから反落している。日経平均も無論、これを境に下降に転じている。これは、日経平均を構成する225社の1株当たり利益に対して、高値圏まで直近水準で買われていることを意味している。
無論この水準は今年1年の中のもの。直近3年間で見るともっと高い水準まで買われてもいる。2015年には4月28日に18.19倍まで買われているので、大きな上昇エネルギーがこのまま続くなら、その水準まで買われる可能性も当然ある。
したがって今年4月高値近くまで来たのだから、下げると断言することはできない。しかし可能性はあると言うことはできるだろう。
気になる貸借倍率
12月から1月までの季節的な流れは過去10年、上昇トレンドと下降トレンドまちまちで、一概に言うことはできない。今年に限って言えば、11月に米国で大統領選挙が行われ、来年1月からドナルド・トランプ政権が始まる。
11月まで日経平均は方向感のない動きが続いて、買い方有利な地合いではなかった。しかし米国大統領選で大マスコミが応援するヒラリー・クリントンが負けて、不利と見られたドナルド・トランプ共和党候補が勝ったことで一時、千円超の大暴落になった。その時にアク抜けし、以降、買戻しが進んだ。3週連続で上昇している。
この上昇劇を支えたのは、トランプ候補が掲げる「大成長路線」への政策期待。そして12月に確実視される、米国の利上げ思惑から発生するドル高円安。この2つに加えて、日経平均の場合、日銀のETF買いと好需給(東証1部貸借倍率の長期低下現象)が下値を支えている。
突っ込めば日銀が日経平均(あるいはトピックス)系のETFを買い支えてくれる安心感、あるいは買い方売り方の需給バランスが売り方に傾きすぎることによる目先買戻し需要の発生で、買戻しが入りやすくなっている。
今年11月25日に貸借倍率は2.83倍まで低まっている。それだけ買戻しが入りやすいことを意味しているが、4月22日、日経225PERが今年1年で最も高かったときはどうだったか。3.65倍まで低下した後、日経平均のピークアウトとともに上昇に転じている。
したがって、直近で4月22日の日経225PERに近いところまで上昇し、貸借倍率も3.65倍を下回る2.83倍まで低下しているので、今年の水準からいくと、そろそろ上昇トレンドから下降トレンドに変わる注意は当然しておかなければならないだろう。
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