世界中で水道民営化の弊害が噴出している
また前述の再公営化を決めた180の自治体の中には、ドイツのベルリンやマレーシアのクアラルンプールなどの首都も含まれています。
さらに、長峰超暉氏によれば、米アトランタでは、スエズ社の子会社によって水道事業が運営されていましたが、配水管が損傷したり泥水が地上に噴出したりして、上水道の配水が阻害されてしまい、しかも復旧対応が大幅に遅れたことがあるそうです。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-7936_3.php
結局、2003年以降、アトランタ市でも水道事業が再公営化されています。
だいたい高橋氏の先の記事は、非論理的で実証性もなく、突っ込みどころ満載なのですが、その詳しい批判は、次の機会に譲りましょう。
なぜ民間に委託する必要があるのか
それにしても世界最高レベルの濾過能力のある浄水場を持ち、飲料水として飲んでもほとんど害のない日本のきれいな水道水の運営を、どうしてわざわざ外資を含む民間事業者に委ねる必要があるのでしょうか。
答えは簡単です。初めに書いたように、いま多くの自治体は財政難で、しかも中央政府から十分な財政援助が得られないからです。
この20年間に政府の公共事業費は、約半分、ピーク時(平成10年)の5分の2にまで下げられてきました。
http://www.mlit.go.jp/common/001024981.pdf
またここ数年、地方の税収が増加していることを理由に、財務省は、地方交付税を抑制する方向に大きく舵を切っています。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_yosanzaisei20161027j-05-w350
税収が増加していると言っても、それは都道府県によって相当な格差があります。首都圏など人口増加の大きい大都市部が上に引っ張っているのでしょう。一律に地方交付税を削減する理由にはならないはずです。
しかも多くの府県では、財政難が以前からずっと続いているわけですから、その事実を見ずに、そっちが増えているから、その分こっちを減らすというのは、あまりに乱暴な論理です。