森友問題を受けて、にわかに「9月の総裁選、3選は無理なのでは」との声が増えてきました。市場も「アベさんのいない世界」を検討せざるを得なくなって来るはずです。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年3月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
相場の足枷になるのは間違いない。海外投資家はどう反応する?
首相交代を意識せざるを得ない
「あなたの知らない世界」と聞いても、ゾワッとする人は減ったのでしょうか。そんなゾワッ不足な御貴兄に、「アベさんのいない世界」をお勧めします。
にわかに「9月の総裁選、3選は無理なのでは」との声が増えてきました。今後のことはサッパリ分かりませんが、「アベさんのいない世界」を市場も検討せざるを得なくなって来るはずです。先週、日本株の上値が妙に重たかったのも、トランプ政権の保護主義懸念だけではないかと。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)
「アベさんのいない世界」と言っても、下野する確率は低いでしょうから、「自民党総裁が代わったら」という前提で始まりそうです。
アベノミクスの扱いはどうなる?
最も気になるのは、アベノミクスの扱い。
円安・株高誘導なのは明らかです。総裁が代わっても基本路線は変わらないでしょうが、それでも全く同じ政策が徹底されるかと問われれば、「どうかな」と一度は考えます。これだけでも株安要因です。
同時に黒田総裁率いる日銀執行部の姿勢にも微妙な変化が出てきそうです。
先日の国会答弁でも、黒田総裁は国債への信認があってこそイールドカーブコントロール(長期金利を一定に保つ政策)が可能といった発言をしていました。財政規律を重視する方です。
「アベさんのいない世界」では、財政規律重視の姿勢がもう少し目立ってもおかしくありません。国債市場は引き続き日銀の管理下にありますが、株式市場には論理とは無関係に嫌気されそうです。
Next: 懸念される海外投資家の動向。首相交代ならどう出る?