経済制裁は効果てきめん。これがどこまで波及するのか?
当初、米国人牧師の開放問題は、エルドアンとトランプのにらみ合いが続くかと思われました。
しかし、ロシアに接近しようとするエルドアンに対するトランプの先制経済制裁は想像以上に功を奏する状況を示現しており、トルコリラの暴落を前に中央銀行も為す術がない状態に陥ってしまっています。
トランプ政権の発足以降、直接的に米国から制裁を受けて瀕死の状況に陥った新興国通貨はトルコが初めてということになります。
ことはトルコだけでは済まない様相を呈しており、これがどこまで拡大していくのかに注目が集まります。
トルコ危機問題は欧州に波及
英国のフィナンシャルタイムズ紙は8月10日、最近のトルコリラの下落により、トルコに大きな債権をもつ欧州系のスペインのBBVA、イタリアのUniCredit、フランスのBNPパリバといった銀行のエクスポージャーを欧州の金融当局が懸念していると報じました。
このことからまずユーロドルが大きく下がり始め、とうとうこれまでのサポートラインの1.15を簡単に下抜けて、ユーロ円も大きく下落することとなりました。

ユーロ/米ドル 日足(SBI証券提供)

ユーロ/円 日足(SBI証券提供)
とくにフィナンシャルタイムズ紙の記事で気になるのは、トルコの金融機関の資産の40%に相当する外貨の借り入れに対するヘッジが十分に行われているとは言えず、今後のデフォルトのリスクを懸念しているとともに、すでに目に見えないデフォルトが発生しているとの疑いを持っているとのくだりです。
ことはトルコ自体の問題から、欧州へと飛び火し始めているところが非常に危惧されます。