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“天命”を担う安倍首相。「日本会議」の隠されたアジェンダと解釈改憲

米研究者「天皇が政治的発言を続けたことは明らか」

もちろん、「内奏」における天皇の政治的発言は絶対的に秘密であり、外部に漏れることはない。ケネス・ルオフの名著『国民の天皇』(岩波書店)は、昭和天皇の「内奏」とその影響について詳しく述べている。

たとえば1950年から53年まで続いた「朝鮮戦争」について以下のようにある。

天皇は「火は既に門前に迫っている」と考えていた。敗戦まで四十年間、日本の植民地だった朝鮮半島が共産化されれば、昭和天皇にとっても見過ごせない脅威となるはずだった(153ページ)

さらに北海道の防衛では次のようにある。

北海道北部はソ連から近距離にある。昭和天皇は長期間、東アジアの覇権をめぐって争ったソ連を危険な軍事上の脅威と見なしていた(155ページ)

そしてこの本では、「内奏」全体について次のようにまとめている。

天皇が政治的発言を続けたことは明らかである。共産党対策をとった方がいいとはっきり口にしているし、首相が選んだ閣僚についても疑問を呈した。側近の更迭にも反対した。日本が米国と同盟関係を結ぶことも望んだ。戦前における天皇の政治的関与は、戦後も継続した(157ページ)

反共」や「日米同盟」などは、実際に戦後日本が辿った方向である。この方向性の決定に天皇の非公式な発言が影響を及ぼした可能性は否定できないように思う。

ところで日本では、終始戦争に反対であったとする昭和天皇のイメージが定着している。ルオフは昭和天皇の戦前の「内奏」をまとめると、以下のように結論できるとしている。

さまざまな機会に昭和天皇が外国との開戦に留保を表明しているとき、最大の関心は日本が勝てるかどうかに向けられている。その上、日本を降伏に導く過程で昭和天皇がいちばん関心を持っていたのは、国体ないし万世一系の皇統の維持であって、これ以上犠牲を多くしないようできるだけ早く戦争を終わらせることではなかったのである(191ページ)

これは平和主義者としての昭和天皇のイメージとは掛け離れている。しかし、これが実態なのであろう。

今上天皇の「内奏」その内容は?

このように、「内奏」で行われる天皇の政治的な発言は、ときの政権に非公式に影響を与えるほどの力がある。では今上天皇の「内奏」はどうなのだろうか?

今上天皇も昭和天皇以上に頻繁に「内奏」を行っていることは知られている。このビデオの冒頭部分に今上天皇の「内奏」が出てくるのでぜひ見てほしい。

今上天皇が安倍首相から「内奏」を受けている状況が非常によく分かる。

今上天皇が「内奏」で何を発言しているかは秘密にされており、我々ではうかがい知ることはできない。だが、陛下の憲法擁護の姿勢を明確にしたこれまでの発言から、「内奏」でも安倍政権の戦前回帰的な政策に対して、突っ込んだ発言をしている可能性は否定できない。ぜひとも期待したい。

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