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米株市場には楽観的な見方が増加。今こそ「バレンタイン・クラッシュ」に備えよ=江守哲

完全な景気後退ではなく「恒常的な停滞」との見方

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)が公表した1月の機関投資家調査によると、企業債務が09年以降で初めて最も懸念される要素として挙げられたことも判明しました。

ネット48%の投資家が、企業は借入比率が高過ぎると答えたというのです。金利上昇が借り換えコストに響くことから、投資家は借金が多い企業へ資金を振り向けるのをためらっているようです。

ネット52%の投資家は、今後1年の世界全体の企業利益が減少するとの見方を示し、企業収益見通しは08年以来最も悲観的となったようです。

また、世界経済が今後1年で悪化すると予想したのはネット60%に上り、やはり08年7月以来の弱気ムードとなりました。

ただし、完全な景気後退ではなく、「恒常的な停滞」が訪れるとの見方がコンセンサスとなっているようです。

そのため、今年中に世界がリセッションに突入すると見込んだのは14%にとどまっています。

投資家が最も取引が集中した対象とみなしたのは、2カ月連続でドルでした。

ドルは02年から一番過大評価されている通貨と考えられてきましたが、18年も世界的に最高の値動きをした資産の1つに数えられています。

また、最大のテールリスクのリストには、8カ月連続で米中貿易摩擦が含まれました。投資家はやはり、両国の通商交渉の動向に高い関心を寄せているようです。

さらに、投資家は将来の世界景気が企業業績にすでに警戒的になっています。しかし、株価は上昇しています。この矛盾がいずれ悪い方に出るような気がします。

いずれにしても、いまはバリュエーションが高いという客観データを基に、ハイテクバブル当時との類似性に注目すべきと考えています。

決してリーマンショックや16年前半のような状況と比べないことが肝要です。

重要なことは、過去に何が起きていたかを知り、これから何が起きそうかを想像して、何がリスクになるのかを発想することです。

関連情報を広く集め、状況の全体像を描き、多彩なオプションを発想するわけです。

そうすることで、様々なリスクを回避しながら、最大の結果を得る機会を得ることができるわけです。

そのうえで、間違っていると判断すれば、すぐに切り替えることが大事です。それまでの見方に縛られることなく、柔軟に考え、対応することが肝要です。

Next: アメリカの経済指標はいま、どんな状況を示している?

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