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リアルタイムの買い物情報で投資判断?「オルタナティブ・データ分析」が新たな潮流に=山田健彦

投資分析の新たな潮流「オルタナティブ・データ分析」

もう一つ、忘れてならないのは「オルタナティブ・データ分析」というものです。最近出てきた概念ですが、これもAIを取り巻くビッグデータ分析技術の革新的な進歩から出てきました。

「オルタナティブ」とは「代替的」という意味ですが、伝統的な企業・経済分析は企業の財務諸表分析、経営陣やその企業の属する業界団体へのインタビュー、政府や中央銀行が公表する経済データをベースに企業の業績予測を立てるものですが、「オルタナティブ・データ分析」では日々、ほぼリアルタイムで生成されるPOSレジのデータやクレジットカードの使用データをもとに品目的に売上トレンドを分析する、というものです。

「オルタナティブ・データ」の中にはPOSレジやクレジットカードの使用データ以外にもデータとして取れ、数量加工ができるのなら何でも、例えば、スマホが発する位置情報、SNSによる口コミ、音声データ、特定のニュースやYouTube番組の閲覧数や累計閲覧時間、企業が保有する特許数やその内容分析なども含まれます。

背景にはコンピュータの演算処理速度の向上、AIによる自動分析、膨大な量のデータを処理可能としたデータベース、統計分析に優れたデータサイエンティストの出現があります。

このオルタナティブ・データ分析の市場規模は2017年に43億ドルと推計され、2020年の市場規模は90億ドルになる、という報告が出されています。

アメリカの大手投資銀行では、オルタナティブ・データ分析を用いた投資手法の開発に年間1億ドル近くの投資を行っている所もあるそうです。

自然言語分析

ごく最近では「自然言語分析」技術が格段に発達し、企業の特許技術の内容を分類、整理することが短時間で可能となりました。企業が他社と業務提携やM&Aを行おうとする際に、どの分野でシナジーが発揮可能なのか、どの分野で業務が重複しそうなのか等を予測します。

企業は従来、自社内に特許分析の専門部署を置き、人の手でそれらを分析していましたが、1人のスタッフが読解、分析できる他社特許件数は1ヶ月で平均3~4が限度といわれていました。この「自然言語分析」技術を用いることで、格段に処理が早くなり、日本でもこの分析を専門に請け負うベンチャー企業も出てきました。既に上場していますが、興味があれば調べてみてください。

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image by : Stokkete / Shutterstock.com

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資産1億円への道』(2019年7月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。

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