ゆっくり着実に資産を増やすには…
それでは、大型割安株(商社、銀行、リースなど)の上昇がこのまま続くのかと言うと、私はそんなに続かないと考えます。
これらの銘柄は結局「割安」という評価が定着しています。したがって、会社か社会によほど大きな変化がない限り、その評価を覆すことは難しいのです。
その意味で、今買っても得られるリターンは限定的だと考えます。
だからと言って、これらの銘柄への投資が悪いと言っているわけではありません。大切なのは、あなたがどう考え、どう動くかということです。
大型割安株に求められるのはあくまで安定感です。割安感が強いから下がりにくく、相場の流れによっては上がることもあります。つまり、ボックス圏での動きが続く可能性が高いということです。
このような銘柄で瞬時に大きなリターンをあげようとすると、大きな変化がない中で高値づかみになってしまう可能性が高いことはおわかりいただけるでしょう。
すなわち、買い時は今ではありません。誰も注目していない期間にコツコツと仕込んだ人がその恩恵を受けることができます。ドルコスト平均法の応用で、安い時に「だけ」買うことで、平均取得単価を少しでも下げることが重要なのです。
一方で、きれいなボックスを描くとも限らないので、タイミングを計って売買を繰り返してうまくいく保証はありません。株価の動きはあくまでランダムです。
そんな中でより確実な方法は、安い時にだけ買って、そのまま持ち続けることです。上昇相場になれば恩恵を受けることができますし、ゆっくりでも成長する銘柄を買っていれば長期的な株価上昇や増配が期待できます。
何より、大きく下がるリスクが小さい銘柄を安心して持ち続けられるメリットは、資産管理的にも精神的にも大きいのです。ゆっくり増やせば良いと考える人にとっては、これ以上のものはありません。覚えておいて損はないでしょう。

伊藤忠商事<8001> 月足(SBI証券提供)
以下、参考記事を掲載いたします。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年9月23日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。