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地球寒冷化は本当か? 2020年から台風・地震・噴火がさらに凶悪になる=高島康司

熱塩循環は停止していない

これらが、地球は寒冷化に向かっているとする根拠である。しかし現実には、寒冷化を示す現象も兆候もほとんど観察されていない

ここに興味深い過去のレポートがある。それは、2003年に米国防総省の求めに応じて提出された気候変動予測レポートである。執筆者は、未来予測で有名な研究機関「ロングナウファウンデーション」を主催する著名な未来学者、ピーター・シュワルツ博士である。

ここでは、熱塩循環の停止から地球が寒冷化し、2020年前後には次のようなことが起こると予想していた。

<未来学者ピーター・シュワルツ博士の2020年予想(2003年時点)>

・熱塩循環の停止で暖かいメキシコ湾流はヨーロッパまで到達しなくなる。このため北ヨーロッパや北西ヨーロッパの平均気温は低下する。この地域では砂漠化が進行し、2020年頃にはシベリアのような状態になる。平均気温は3.3度低下する。

・ヨーロッパや北アメリカで干ばつが頻繁に起こり、食糧不足が深刻になる。

アジアと北アメリカの地域では平均気温は2.7度低下する。

オーストラリア、南アメリカ、南アフリカなどの南半球では平均気温は逆に2.7度上昇する。

・冬には強烈な嵐と風に見舞われるようになる。特に西ヨーロッパと北太平洋は西からの強風に襲われる

以上である。これが2003年時点での寒冷化の予測であった。一見して分かる通り、2019年10月現在、予測は完全に外れている。的中しているものは皆無だ。

また調べると分かるが、将来はどうなるのかはっきりとは分からないものの、熱塩循環はさほど弱まってもいないし、ましてや停止などしていない。

黒点極小期でも温度は上昇

また、黒点数が少なく、太陽活動が不活発になる極小期にも、逆に地球の表面温度は上昇しており、温暖化が進行していることが分かっている。

以下は最近、アメリカの「NASA」が公表したグラフだ。下の黄色い線は黒点数の変動、上の赤い線が地球の平均気温の変動である。これを見るとはっきり分かるが、地球温暖化のスピードが極端に速く、黒点数と太陽の活動性に関係なく気温が上昇していることが分かる。

また最近の調査では、大気圏の上層にある成層圏ほど気温の上昇はゆるやかで、大気圏の地上に近い層ほど気温の上昇が激しいことが分かっている。

もし太陽活動が地球温暖化、及び寒冷化の原因であれば、太陽に近い成層圏ほど気温の上昇が激しいはずである。現実はこの逆なので、気温の上昇は地表で人間の活動から発生する温暖化ガスが原因であるということになる。

このように、地球の温暖化や寒冷化に対する太陽活動の影響は比較的に小さいと見られている。地球の平均気温を0.3度変動させる程度の影響だとされている。このまま温暖化ガスが抑制されないと、2081年から2100年には平均気温は4.8度上昇すると予測されている。それから見ると、0.3度とは比較的に小さな影響だ。

たとえサイクル24や25の極点極小期に太陽活動の停滞で気温が低下しても、温室効果ガスの圧倒的な影響で、完全に相殺されてしまう程度のものだ。

しかし、1645年から1715年まで続いた「マウンダー極小期」の平均気温の低下は0.2度であった。とすると、極端な極小期の可能性もある2020年からのサイクル25では、「マウンダー極小期」と同じような寒冷化が起こるとも見ることができる。

しかし、この程度の低下であれば、加速する温暖化によって完全に相殺されてしまうと考えたほうがよい。寒冷化が起こるとは考えにくい

Next: さらに温暖化が進み、災害はより凶悪になる? 噴火・地震が激増するデータも…

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