SARSの恐怖が再び
2002年11月に中国広東省広州市で発生したSARSは、同市郊外にある「広州新源蛇鳥禽畜総合市場」という野生動物の市場が発生源とされました。
売られているものは、鳥類ならば野鳥やウズラから大型の水鳥まで、ヘビはコブラもいれば、イヌ、ネコ、野豚、狼の類から、子鹿まで、日本では見かけない動物も含めて、生きたまま網や鉄の籠や檻の中に入れられて店先に並べられていました。
イヌは生きたまま四角い箱のような檻の中に”すし詰め”にされて、その檻が縦にいくつも重ねられています。
ネコに至っては、客が選んだものを”やっとこ”で首筋を挟んで籠から引きあげ、麻袋に詰め替えて手渡していました。
すべて食用です。
SARSは、野生のハクビシンが持ち込み、媒介してヒトに広まっていったとされています。今日本にも、多くの野生のハクビシンが生息しているのです。
SARS感染のときに問題となったのが「スーパースプレッダー(超感染拡大者)」の存在です。1人で多人数に感染を拡げる特殊な感染者のことで、その存在が、パンデミックに繋がるのですね。
SARSの集団発生は、2002年11月16日の中国の症例に始まり、台湾の症例を最後に、2003年7月5日に、WHOによって終息宣言が出されました。
32の地域と国にわたり、8,000人を超える症例が報告されました。
日経平均は急落へ
マーケットは、米国のドローン攻撃によるイラン要人殺害に始まり、日米通商交渉第一段階署名合意にいたり、アップダウンさせられました。
昨年からのマーケット変動の一番の大きな要因は米中通商交渉でした。
今足下では、もっぱら中国の新型肺炎、コロナ・ウイルスが最大のネガティブ要因となっています。
先週金曜の時点では、欧米市場は世界保健機関(WHO)の緊急事態発動見送りにより、ヘッジファンドも模様眺めを決め込んでいました。
NYでの企業業績発表も、無難にこなしている状況でした。
それが、週末を控え、多くのファンドは新型肺炎関連の新たな展開を見守る姿勢となりました。
ところが事態は悪化しました。
中国本土以外にも感染者が見つかり、とうとう米国でも感染者が見つかりました。
中国の習近平政権も、全国人民代表大会(全人代)を3月5日に控え、なりふりかまわぬ強権的封じ込めに動きました。
結果として、週明けの東京市場がヘッジファンドの株売り、円買いの仕掛けをまともに受ける展開となって、東京市場は大幅下落となりました。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)
「米中通商協議“第1段階”の合意を受け、しばし安堵感に浸っていた市場は、不意を突かれた…」専門家の嘆きの言葉です。