カジノ収益を考える
カジノを誘致したら日本は儲かる?……では、どうやって儲けるのでしょう。
経済効果は、捉え方によってその規模は異なりますので、カジノ単体の収益、ゲーミング売上に対して考えてみましょう。
国や自治体としての収益は「税金」です。「税金」徴収が収入源となります。
その税金を納める側としては
・IR事業者
・カジノ顧客
になります。
これは国によって、課税の仕方は異なります。これも顧客争奪競争には大きな影響が出てきます。
日本カジノの場合は、IR事業者に対して「カジノ税」を徴収新します。
日本はGGR(Gross Gaming Revenue)、つまり粗収益(掛金総額 - 顧客への払戻金)に対して30%の税率がかかり、それを国と認定都道府県と折半されます。
カジノ税の課税対象が、事業者の利益に対してではなく、経費を考慮しない粗収益に対してだということです。
ここが法人税等の他の税制とは異なります。
IR事業者は、このGGR等比例負担のカジノ納付金以外にも、法人税や消費税の通常ビジネスにおいて発生する税金を支払います。
カジノで儲けた人は、その儲けに対して「一時所得」が課せられます。日本居住者はマイナンバーカードで全プレイが記録され、勝ち分が一時所得として課税、非居住者は勝ち分に対して源泉徴収などの案があるようです。
日本の税制では50万円以上のギャンブル収入は一時所得として確定申告の義務が生じてきます。
「一時所得」に関しては、競輪競馬などの公営ギャンブルの儲けや、クイズの懸賞金、福引賞金も対象となります。生命保険金もそうですね。
日本カジノはアジアのカジノに勝てるのか(税制の観点)
シンガポールでは、ゲーム粗収益(GGR)に課税するカジノ税については、2022年3月から収益の額に応じて税率を2段階に分け、賭け金の大きいVIP向けゲームは24億シンガポールドル(約1,980億円)以内の収益に8%、24億シンガポールドルを超えた分に対しては12%を課税することになります。非VIP向けの税率は31億シンガポールドル分までを18%、超過分を22%とします。
シンガポールのマリーナベイサンズでカジノをやった場合、基本的に勝ち金は非課税になっています。
この税金額の差は大きく、これで歴史の無い日本カジノが、シンガポールに優位に立てるとは思えないのですがね。
マカオの「カジノ税」は、日本よりも高い39%ですが、法人税が12%で、場合によっては0%となります。
日本の実効税率約30%とは比べ物になりませんし、マカオでは、消費税や地方税がありません。
税制を考えて、果たして日本は、アジアのカジノと競争で勝てるのでしょうか。
日本カジノはアジアのカジノに勝てるのか(サービスの観点)
カジノの文化には「コンプ」というものがあります。大雑把に言えば「無料割引サービス」のことで、賭け金やゲーム時間によってポイントが貯まり、宿泊や飲食、飛行機代などが無料になったり、キャッシュバックなどの優遇があったりするものです
たとえば、IR区域内にあるホテルを利用した場合に、カジノの入場料に相当する金額のポイントがもらえるといったサービスなどにあたります。このポイントにより、利用者は入場料を支払うことなくカジノ施設を利用できることになります。「コンプ」が、カジノ管理委員会の検討結果次第で、禁止される可能性があるとのことです――
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※本記事は、らぽーる・マガジン 2020年2月17日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『らぽーる・マガジン』(2020年2月17日号)より一部抜粋
※タイトル、本文見出しはMONEY VOICE編集部による
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