先行指標は最悪!特に失業保険申請件数は目を疑う数字に
前回の2月時と比べ、すべての経済指標が悪化しています。ISM(米供給管理協会)の発表した製造業の雇用指数は2009年ぶりの低水準、ADP社の発表の雇用報告では2017年以来の減少に転じています。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)
とりわけ、新規失業保険申請件数は桁が1つ違う数字となっています。ロックダウンにより仕事が休業状態となり申請者が激増しているので驚くことではないかもしれませんが、それでもやはり今後の米経済を懸念せずにはいられません。
当然ですが、この数字を見て強気になれる理由はまったくありません。
それから、非農業部門雇用者数の事前予想値は−10.0万人の減少と控えめな数字ですが、先のも述べたように調査週(3月8〜14日)がロックダウンの本格化前であることがその理由です。
今日は原油の値動き、関連報道にも警戒!
むしろ、今夜も原油相場の値動きに警戒が必要かもしれません。昨夜は20ドルラインに張り付いていたWTI原油先物相場が一時+30%を超える上昇となり、株価が急騰して円売りに傾き、ドル円も上値を伸ばしました。かなりインパクトの強い材料でした。
この値動きの背景は、ロシアのノバク・エネルギー相が、これ以上の増産は予定していないとしたことや、サウジアラビアが緊急のOPEC(石油輸出国機構)プラス会合を呼びかけたこと。
さらに、これにトランプ大統領が便乗する形で、1,000万バレルの減産を期待するとツイートしたことが重なって原油が大きく反発することになりました。
Just spoke to my friend MBS (Crown Prince) of Saudi Arabia, who spoke with President Putin of Russia, & I expect & hope that they will be cutting back approximately 10 Million Barrels, and maybe substantially more which, if it happens, will be GREAT for the oil & gas industry!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) April 2, 2020
しかしながら、発言の切り取り、良いとこどりの上昇であり、今後も報道次第で乱高下することになるでしょう。
現実には、ロシアはさらなる原油下落を否定しないとして原油安を容認する姿勢を示していますし、サウジアラビアとは話をしていないとしています。
また、サウジアラビアもOPECプラス会合を呼びかけているものの、サウジアラビアにとって公平な合意、つまり、各国がこれまで以上の協調減産をすることが前提条件となっています。
今は期待感のみで原油が支えられていますが、各国から減産に否定的な反応があれば、再び原油が急落し、株安からの円高でドル円が押し下げられる可能性もありますから、今夜は雇用統計だけでなく、こちらの関連報道にも目を向けておきたいところでしょう。