前澤氏の資産は800億円増加
一方のZOZOの業績は好調です。今期も50%近い増益予想を発表しています。外での買い物がしづらくなった分の需要が、オンラインに流れているのです。これは、アパレルのオンライン化の流れを加速させる可能性があります。

ZOZO<3092> 週足(SBI証券提供)
株価も新型コロナショックから右肩上がりに上昇し、前澤氏がZホールディングスへ売却した価格を超えました。前澤氏はまだZOZOの株式を17.5%保有していますから、株価上昇で3月の底値から約800億円が増えたことになります。お金を配りたくなるのもよくわかる金額です。
前澤友作は孫正義を超えバフェットになるか?
この新型コロナショックが終わったときに、アダストリアやユナイテッドアローズの業績や株価はどうなるでしょう。
1つ考えられる方向性が、このままオンライン化がどんどん進むということです。そうなると実店舗を中心として展開する両社は、店舗の減損やリストラが避けられず、当面厳しい状況に置かれるでしょう。投資家もこれを見越して株を売っていると考えられます。
アパレル大手のオンワードは、目下売上の半分をオンラインにしようとリストラを含む大改革を行っています。このようなことがどの会社でも起こりうるのです。
ただし、両社はZOZOTOWNにおける中核的な店舗となっていることからわかるように、比較的早い段階からオンライン化を進めています。そうなると適応は思いのほか早いのではないでしょうか。
そんな中でこの2社の財務状況は健全です。リストラで一時的な損失を被るとしても、本質的な経営状況には問題が無いと考えられます。
何より若者に受け入れられているブランドであるからこそ、ZOZOTOWNのようなオンラインモールにおいてもその優位性が引き続き発揮されるのです。
もちろん前澤氏にとってはかつての取引先ですから、その内情はつぶさに知り尽くしていることでしょう。その上で将来に期待が持てると判断したからこそ、この投資に至ったと想像できます。
両社の株価は、1年前のおよそ半額になっています。これらに対し約74億円の投資を行いましたから、株価が2倍になれば100億円近い利益を上げることになります。
すなわち、この投資は大量保有報告書に書かれている通り、紛れもない「純投資」という見方ができるのです。
このように売り叩かれた時にたくさん投資できる投資家こそ、本当の利益を得ることができます。これは「投資の神様」ウォーレン・バフェットにも通じる考え方です。
もしかすると、この新型コロナショックを受けて徹底的に守りの姿勢に入ってしまったソフトバンクの孫正義社長よりも、投資家としては一枚上手かもしれません。