シナリオ3:株価を吊り上げて売却
シャープの株主にとって唯一の望ましいシナリオは、鴻海がシャープを立て直し、買った時から大幅に株価を上昇させてリターンを得ようと考える場合です。これはファンドの考え方と似ています。
実際に、ソフトバンクは企業を買収し、バリューアップして売却益を得ることを事業の一部としています。しかし、テリー・ゴウのシャープ買収への執着を見ると、早期の売却は望むべくもなさそうです。
考えられるとしたら、鴻海が財務的な苦境に陥り、資金を得るためにシャープを売却する時です。しかし、鴻海は今のところ潤沢な資金を保有していますから、シャープを売却して資金を得る必要性は当面なさそうです。

シャープ <6753> 日足(SBI証券提供)

シャープ <6753> 月足(SBI証券提供)
以上3つのシナリオを考えても、当面シャープの株価が上昇する可能性は決して高くありません。一方で、鴻海が2/3の議決権を保有している限り、株主の利益が失われるリスクは常につきまとっているのです。
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